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粒マスタード必須。 [惹かれる品々]

0103八ヶ岳Scheme.JPG
K430.jpg
▲出典:AKG日本国内代理店ハーマンインターナショナルの商品ページから

久しぶりにイアフォンではなくヘッドフォンを引っ張り出してみて
この世界の楽しさをあらためて思いだした。
せっかくだから、今持っていないタイプの小振りのものが欲しくなって
つい手に入れてしまったのが、これ。
オーストリアのAKG製、K430というヘッドフォン。

今持っていないタイプ、というのは
耳を覆うほどの大袈裟なものではなく、装着感の良さでは一番の「耳に載せる開放型」でもなく
コンパクトで密閉型の、適度に凝縮感のありそうなもの。
小さな音量の時にでも、今持っている機械ではちょっと出にくい
歯切れの良いベースの響きが適度に楽しめるような、そんなヘッドフォン。

魚料理が続いた後に、ちょっと肉料理が食べたくなる、そんな感じだ。
それも、飲み込むまでに時間の掛る北米産牛肉の意味無く分厚いステーキではなく
前歯で噛み切った時にパリッと音のする荒挽きソーセージのようなもの。
その程度でいいのだ。


ワタクシは、なにか新しい分野のものが欲しくなると
それなりに時間を掛けて縦穴を掘って、いろいろな製品を比較したり評判などを見聞きして、
少しずつ自分の求めているものに近そうなものを絞り込んでいく。
大袈裟にいえば、その過程自体も好きだ。
穴を掘り進んで行くと、地上から眺めていただけでは気が付かなかった地層の断面やら
埋められてしまった昔の出来事とか、意外な方向に伸びる横穴なんてものが少しずつ見えてくる。

ふと振り返ると、ワタクシが歩いてきたあとには実に様々な穴が放り出されたまま。
たまに覗きこんでみて、気が向くとまたスコップを手にしてみたりもする。
大概は、穴の形を見つめているうちに、中の様子を思い出すことになるのだけれども。


周波数からわかることもある...かな。.png
▲出典:"doctorhead"というロシアのwebsite

上の周波数特性のグラフに出てくる4つの商品は、
ここ何年かヘッドフォンのことを考える時にいつも「欲しいなぁ」と思うものばかり。
ちなみに、グラフの右端が可聴域の高音の上限側、左が低音側なので
波が右上がりであれば高音寄りのバランスで、左上がりであれば低音寄りということになる。

我が家にはSennheiserの製品はいくつかあるので、今回はAKG製品を選んでみることにした。
グラフの上段のK430/PX100が比較的均等なバランスで広い音域をカバーしているのに対して
下段のK451は低音域に、PX200は中音域により重心を持たせた特性になっていることになる。

実際の製品の評判を見ると、上位機種のK451については
「この価格帯ではベスト」という評価も多いかわりに
低音域が強調され過ぎている、という評価もある。
色々考えて、今回は下位機種のK430を試してみることにする。
決め手は、いまだにやや開きのある価格。K451はAmazonでも8,000円近くするのだ。



今しかないっ!.jpg
下位機種とはいうものの、数年前に見掛けた時には1万円近くした。
久しぶりに見てみると最も安い店は1店舗だけ5千円以下で、
他は6000円以上で売っている所がほとんど。

その、一番安く4,000円を切る値段で販売しているサイトをしばらく見つめているうちに、
(※ちなみにNTT-Xストア、偽物はまず売らないと判断した。)
フッと価格がさらに500円下がった。こういう時は買っておいた方がいいのだ。うむ。

早速。

うむ、なかなかパリッとしていて、いい感じだ。
中音域が生き生きと張り出して感じられるのが、何よりの美点。
高音域も適度に上の方まで伸び切っていて、爽やかさもある。
肉汁が滴るほど...ではないけれども、肉のコクのようなものはしっかりと感じられる。
アレンジが上手いのだろう。
ちなみに、実際の質感はプラスティックっぽさ全開で
広報写真から感じられるような上品な高級感は希薄。まあ、この点は想像通り。


☆☆☆

と、ここで荒挽きソーセージのお話から、やや脱線。

異様な形(笑.jpg
▲出典:Philips社の商品ページから

久しぶりに縦穴の中に籠って地層の断面などを見ているうちに
製品の評価も国によって随分違う場合があることに気が付いた。

この妙な形のイアフォン、Philips製のSHE6000というモデルなのだけれども
ボディ本体の裏面がまるでミニチュアのスピーカーのようなデザインになっていて
実際にここから出る音が作用してサラウンド的効果があるのだと謳われている。

耳に本体をしっかり挿しているのに?

たまには騙されてみようと思って、3年前の春に北米のAmazonで買ってみた。
円高のおかげもあって、送料を含めても2,000円もしなかった。


異様な人気....png
Philipsのイアフォンといえば、日本ではSHE9700というシリーズが定番的な人気商品だし、
自分も2008年の春に買ってみた。明瞭で元気が良く、人気があるのもうなずける。

しかし、これはどうも日本に限ってのお話のよう。
上の画像は北米のAmazonに掲載されていた比較表。
左端のSHE9700はさほど人気があるとは思われず、レビュー数が20件にも満たないのに対して
一方右端のSHE6000は購入者のレビュー数が圧倒的に多いだけでなく、評価自体も高めだ。
ちなみに、日本のAmazonではSHE9700シリーズのレビュー数は1,000件を超えている。

実際に届いたSHE6000を開封して聴いてみると...
うーん、ひどく全体が曇ったような印象で、気持ち良く聴けたものではなかった。
これは大ハズレだったのかも、そんな第一印象だった。

しかし、これだけの高い評価が沢山あるということは、何かしら良い点もあるのに違いない。
そう思って騙され続けるつもりで気長に音楽を聴いているうちに
致命的と思われた音の曇った印象は少しずつ晴れやかに変わって行き
曲によってはとても感じよく聴けることに気が付いた、
どちらかというと、古い録音のものの方が相性が良いような気がする。
例えば、Stevie Wonderの"Songs in the key of life"を聴くと
彼の声や演奏の響きがはっとするくらいに生々しく感じられて素敵だ。


脱線ついでに、もう一つ。
最近、ウォークマン発売35周年という触れ込みで販売された「ウォークマンぴあ」
というムック本を読んでみたのだけれども、とても違和感があったのだった。
現代のウォークマンがいかに「ハイレゾ音源」に対応したハイテクなものになっていて
それに組合わされるヘッドフォンがどれだけ「ハイレゾ音源」を正確に再生できるか、
というような話に終始していて、新世代Walkmanの魅力を語る面々は
「クリエイター」やら「アニメの主題歌を唄うアーティスト」やら「音楽プロデューサー」
なんていう人達ばかり。例外はピーター・バラカン氏くらい。

斜め読みしているうちに、「この人達はワタクシの聴いているモノとは
何か全く違う種類の音楽を聴いているのではないだろうか」という、
何とも言えない疑問が湧いてきてしまった。

音楽って、コンピュータで造った音の信号を並べただけのもの、ではない。
正確な再現性、より広い音域の再現能力が、必ずしも豊かな音楽体験に繋がるわけではない。
時に、正確な再現性とは程遠い安価な機械によってでも、
平和で幸せな音楽体験を味わえることもある。相性が上手く合えば。


☆☆☆


などということを考えながら、ここ2週間ほど
手に入れたばかりのK430で音楽を聴いていた。
そして、昨日の夜。


今一度!.png
ふと、検討中に眺めていた同じ購入サイトのK451のページを見ていると
あろうことか、再び目の前で現状の最安価格から一気に999円も値段が下がって
5,000円を切る価格になったではないか。

うーむ。ぽち。

より濃厚で、しっとりと重厚なソーセージであってくれると良いのだけれども。

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コメント 12

knacke

お口においしいお話と思ったら・・・。(笑
価格のグラフが哀愁です。
と、いうのも、今、とあるものを買おうと思っていて、
毎日グラフとにらめっこ。
買ったとたんにまた下がったら悲しいし、
もう一息!と思って耐えていたら、また一気にあがったり、
買い時が難しい・・・。(苦笑
この価格ならいいな、
て思える時点で買うのがいいとはわかっていても、
ついつい、欲張ってしまって結果、なかなか買えないみたいな。

イアフォンもヘッドフォンも、こだわればいろいろあるんですね。
よいお買い物ができたら、幸せ〜。
イアフォンもヘッドフォンもいいけれど、
ほんとに口に入る粒マスタードと荒びソーセージの、
おいしいに出会ったら、それも記事にしてくださいね。(笑
by knacke (2015-03-12 09:05) 

mani

動画編集仕事などをする際、SONYのMDR-CD780を愛用してます。
10年ぐらい前に生産を終了したアラウンドイヤーモデルで
さすがに見た目は少々大袈裟&重さも300gと軽くないのですが、
イヤーパッドが柔らかく、掛け心地がものすご~~~く良くて、
長時間掛けていても耳もアタマも痛くならず、疲れません。
音質よりも掛け心地の良さでついついコレを手に取ってしまうという
まるで小悪魔のようなヘッドフォンです(笑)。
……まったくこの穴も深いですね^^;
by mani (2015-03-12 13:43) 

HIRO

こんにちは。
自分も欲しいものについては、色々観てみる...というか掘ってみるんですが…(笑)
値段のグラフも良し悪し?
by HIRO (2015-03-12 21:58) 

FTドルフィン

ちょうど今
愛用のシュアーのイアフォンが
断線で接触不良を起こし始めていて
治そうか、新しいのにしようか・・・
なんて考えていたんですよ!
harryさんの記事読んでたら
なんか、新しい素敵な娘に
出会いたくなりました!
あれ?
なんかこの言い回しは
乗り換えるようでよくないですねw

自分に合ったイアフォン
探してみようかな。。。

by FTドルフィン (2015-03-12 22:16) 

harry

☆knackeさん、シャウエッセン的なお話じゃなくてごめんね(笑
 でも、実は「荒挽きソーセージ」という種類の食べ物は
 我々二人揃ってかなりの好物なのであります。じゅる。

 このグラフね、あまり見てると良いことばかりでもない(笑)ので
 普段は意識してなるべく見ないことにしてるんです。
 でも、見ているその場でお値段が下がっちゃうと、ね。
 それで、買った後はもう見ない方がいいと判っているのに
 つい見ちゃう...
 まあ、今回はまだ楽しかったから良しとさせてくださいませ。

 むかーしアルゼンチンの巨大ステーキハウスで食べた
 炭火で炙った美味しいソーセージがいまだに忘れられなくて
 今もそういう出会いを思い浮かべて彷徨っております。
 見つけたら、しっかり記事にね。了解であります。

 
by harry (2015-03-12 22:45) 

harry

☆maniさん、こんばんは。
 MDR-CD780、いいですねー。実は我が家にもあの世代の廉価版姉妹機
 MDR-CD480と、一つ前の世代の密閉型のMDR-CD850が
 まだ健在なんです。
 480のパッドも780に似た形状・材質だったので、
 あのシリーズの気持ち良さはよくわかります♪
 ヘッドフォンって、音質と同じ位、装着感の良さも大事ですよね。
 マグネシウム製フレームのMDR-F1も欲しかったなぁ...

 なんて書いているうちにMDR-CD850を聴き直してみたくなって
 きました...キケンキケン(笑


 
by harry (2015-03-12 22:57) 

harry

☆HIROさん、こんばんは。
 我が家の庭先の縦穴の数と深さはかなりのものですよ(笑
 時々、つまずいたりしてます。

 値段の変化を楽しんでいるうちはいいですけど、
 気にし過ぎると、だんだん買う気も失せてきたりして駄目ですね。
 適度に楽しむことにします♪

by harry (2015-03-12 23:00) 

harry

☆FTドルフィンさんは以前からShureがお気に入りでしたよね。
 自分はイアフォンは基本的に深夜用と割り切っていて、
 音源自体も大したものではないので、安価なモノをとっかえひっかえ...
 と言いつつ、試したものの中では少し古いSennheiserのCX95と
 UEの350VMはなかなか気に入っています。350VMは価格の割には
 とても繊細で音域もそこそこ広く、姉妹機のUE200も在庫処分で
 980円で手に入れたんですが、癖が少なく感じの良い音でした。

 それにしても、ここ数年で選択肢が格段に増えましたね。
 可愛くて気の利いた素敵な娘さん、早く見つけてあげてください(笑

by harry (2015-03-12 23:12) 

ナツパパ

ウォークマンを長く愛用していて、そのためのアプリとか
ライブラリーとかがPCに入っています。
なので、ウォークマンをこれからも使い続けて行きたいのですが、
記事のハイレゾでしたっけ、あれに面食らっています。
一曲あたりも高いし、そもそも必要なのかなあ、などと。
ソニーさん、しっかりしてね、といいたいです。
by ナツパパ (2015-03-15 18:18) 

harry

☆ナツパパさん、こんばんは。
 ワタクシもウォークマンのソフトウェアをずっと使っています。
 決して使い勝手が良いとは思えないんですけど(笑)、こういうものは
 継続して使えないと意味が無いですものね。
 個人的にはApple製品に比べてSONYのATRACの方が若干音質が良い
 ような気がしていますが、きっと天邪鬼なせいもあるんでしょう。

 それにしても、デジタル製品の進化に合わせて、4Kだのハイレゾだのと
 既存の枠組みを古臭く見せるような言葉が巷に溢れていますね。
 自分は出来るだけこういう世界には関わらずに行きたいなぁ...と
 密かに意気込んでいるところなのです(笑
by harry (2015-03-15 23:40) 

FTドルフィン

ありがとうございます
10年前なんですね。。。w

by FTドルフィン (2015-03-18 23:25) 

harry

☆FTドルフィンさん、気がついちゃいました?(笑
 なんだか懐かしいなぁ...と思って。
 10年、あっという間でしたね。
by harry (2015-03-18 23:31) 

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