梅雨空。 [Infrared Photography]
しとしとと、降ったりやんだり。
夏休みが始まる頃には、また陽射しが戻ってくるかな。。
BGMは Mike Oldfieldの " Ommadawn " 。
空気遠近法のない世界。 [Infrared Photography]
今日の夕焼け。
アルプスに沈んでいく夕日を右手に見ながら東南の方角に目を向けると
19時過ぎに一瞬空全体がぽっと燃え立つような色に染まった。
蔦の絡まる古い社屋も、今年の秋にはなくなっているだろう。
ドアの蝶番の隙間までツルが忍び込んできて、そんなところにも時間の重みを感じたりして。
もう一つのカメラでも撮ってみる。
うっすらと「もや」が掛かったように見えていた空が、すっかり別物に見える。
しっとりと柔らかく見えていたのは、可視光線の屈折の重なり合いだったということか。
おぼろげに見えていた月も、妙にくっきり。
「空気遠近法」という古典的な風景画の技法がある。
遠くの景色は空気の層に通して霞んで見えるので
意識的にそのぼやけた像を描くことができれば、
現実の目で見た時に感じる遠近感を平面的な絵画の上でも表現できる。
赤外線写真では、その「空気遠近法」の効果自体がほとんど消えてしまう。
距離を隔てた景色をもわっと見せていた原因の「波長の短い可視光線の錯乱」が
写真に残らないからだ。
肉眼ではぼんやりとしか見えない遠くの山々の
鋭角的な襞がくっきりと見えている様は、なんだかとても非現実的。
むわっとした蒸し暑い午後だったのに、この澄んだような空気。
本当の世界は、実は見慣れた景色とは少し違っているのかもしれない...なんて考えてしまったりする。
深い森へ。 [Infrared Photography]
赤外線写真は、くらくらするくらいに陽射しの強い日の方が
面白い絵になることがわかってきた。
強いコントラストの間にグレーの細かな階調が刻まれて
普通のカラー写真とは随分雰囲気の違った世界が見えてくる。
入梅したかと思ったら、皮膚がちりちりとするくらい。
ちょっと森へ出掛けてみようかな。
家の前の田んぼに写る雲を撮ろうとして屈み込んでいたら
ハフハフハフと壊れた蒸気機関車のような音を立てて
こげ茶色の犬が近づいてきた。
立ち去り際に、ひょいっと後ろ脚を器用に持ち上げて。田んぼに栄養注入。
いつも看板だけ眺めて通り過ぎていた「牛伏寺」へ、かなりの急坂を登っていく。
一気に木々が重なって、陽射しが時々こぼれるくらいの深い森へ。
雨が上がったばかりで、空気はしっとり。
行き止まりの道をかなり奥まで進んで、転げ落ちそうな道をローギアで静かに戻ってくる。
突然現れた「フランス式階段工」の看板。
明治から大正にかけて整備されたらしい。
深い森の中に忽然と現れる滝はなんとも不思議。よく造ったなぁ。
振り返ると、下界には燦々と日が降り注いでいる。
ちょっと深呼吸。
来た道を戻っていくと、砂防ダム越しに松本~塩尻の盆地が広がっている。
我が家も何処かにあるはず...なんだけど。
綺麗に整備されているのに、誰も居ない。
アカシアの花が雨に打たれて落ちて、道を染めている。
さて、蕎麦でも食べに行こう。
気持ちのいい山麓線まで降りてくる。
赤外線写真に写る雲は、普段眺めている以上に表情が豊かだ。
夕方、どういうわけか休みだというのにしっかり職場に出掛ける用事が入ってしまう。
泡の出る飲み物を飲んで、うつらうつらしていたというのに。
相棒に運転を頼んで、いつもの通勤路を進む頃にはすっかり夕焼け小焼け。
昨日の晩、強い雨をいいことにレインハットを被ってクルマをスポンジで洗っておいたので
ちょっと見直してしまうくらいに今日の我が家のクルマは綺麗に輝いていたのだ。
High Velocity Infrared Photo. [Infrared Photography]
幅員1.5車幅ほどの堤防道路を行く。195km/h(嘘)。
川に沿った一方通行の道。川の西側は北へ、東側は南へ。
毎日、ここを走っている。
だんだん凹みの位置や路面の荒れている場所も頭に入ってきて
なるべく滑らかに走れるように走り方をいろいろと工夫してみる。
たまに前を行くクルマに詰っても、遅い時は遅いなりに工夫のしようがある。
日々是勉強。
南に向かう時は仕事のことを考えて、北に向かう時は家で待っている人のことを考える。
さ、帰らなきゃ。
☆☆☆
今晩は、雑穀ご飯。
この「むにっ」とした歯応えが、いいのだ。
今日一日の出来事を噛みしめるようにして、むにむに。
歯応えのない人生なんて...
赤外線でみた日常の風景。 [Infrared Photography]
火曜日。
仕事で大町市のスキー場へ。
見慣れた北アルプスの光景も、何処か見知の外国の景色のよう。
初夏のスキー場は平和な静けさ。
水曜日。
なんだかんだで午前中から2時過ぎまで仕事が入ってしまって、
その後にゆっくりと山麓線を走って我が家へ。
残り数時間でも、休みの気分は幸せだ。
2ヶ月ぶりの床屋。
カメラだけを持って、のんびりと歩いてみる。
夕方の日差しが低い角度で照りつけて、用水路も輝いている。
毛細血管のように雪解け水が我が家の脇まで届いて、一年中絶えずに流れていて。
ありがたいなぁ。
今日の床屋での話題で印象的だったのは
あり余るお金を誰にでも気さくに貸してくれて、さっさと先に逝ってしまったある大将の話。
肉体は消えてしまっても、記憶はいろいろな形で残るものなのだな。
すっかり暗くなってから、相棒を乗せてあてずっぽうにクルマを走らせて
以前から気になっていた鄙びた食堂へ突入。
店構えとテーブル、椅子...ちょっと危険な香りがしたけれども
相棒好みの「なると」がちゃんと浮かんだ醤油ラーメンと
かりっと揚った厚みのある豚肉たっぷりの酢豚定食でお腹いっぱいに。
二人分合わせても1200円だった。素晴らしい。
また来よう、と思える店が少しずつ増えていくのは、なかなかいい気分だ。
飛行機雲も綺麗だったし。
Infrared Photography - 赤外線写真を試してみる。 [Infrared Photography]
赤外線写真...なんだかいかがわしそうな響きだけれども。
きっかけは、最近手に入れたSONYのDSC-V1の情報を探して、海外のサイトを見回っているうちに
不思議な質感の写真に出会ったこと。
緑は輝くように白く透き通っていて、遠くの山並みまでくっきりとした風景写真。
英文を読んでみると、" Infrared Photography " という分野の写真であると書かれていた。
赤外線フィルタを装着して可視光線を遮ることによって
肉眼では見えない風景が浮かび上がってくる...云々。
この分野でDSC-V1が登場する訳もわかった。
普通のカメラにただ赤外線フィルタを装着しただけでは、光量が少なくなってしまうので
三脚を併用するなり工夫してシャッター速度を長く取らないといけないのだけれども
一般のカメラにあらかじめ組み込まれている「赤外線除去フィルタ」を除くことが出来れば
ごく普通の写真撮影と同じ感覚でシャッターを押すことができる。
ネットでいろいろ探してみると、デジタルカメラを分解して赤外線除去フィルタを撤去するという
改造までしてこういった写真に取り組んでいる人もいる。
ナイトショット機能を持った一時期のSONY製カメラは、本体に内蔵されている赤外線除去フィルタを
レバー操作で光軸から外すことができるようになっているのだ。
本体のレバー操作でナイトショット・モードにして赤外線が除去されないようにし、
レンズ前に赤外線フィルター(=赤外線を通し、可視光線を遮断する)を装着して
光量の豊富な日中に風景写真を撮ってみると...上のような不思議な写真になる、というわけ。
ほぼ同じアングルで撮った赤外線写真と、普通の写真。
遠くの山が青く霞むのは見慣れた風景だけれども、
青く見える「可視光線」の波長は比較的短くて錯乱しやすい。
その可視光線が遮断されると、青い霞(=錯乱している可視光線)が写真から消え去って、
山肌がくっきりと浮かび上がってくる。
雲の表情も随分と違って見える。意味なくドラマチックだ。
ただし、色彩のない世界になってしまうのだけれども。
そんな2枚(赤外線写真と普通の写真)を重ねてみると、また不思議な雰囲気。
いろいろな風景を撮ってみたくなってきた。田んぼも良いんだけどね。
しばらく実験君の日々、だな。