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桜とカメラ。 [暮しの手帖]

Sakura scheme.jpg
0416ハーモニーホールにて。.JPG
3月下旬から急に気温の高い日が続き、
あれだけ遠く感じられた桜の季節も掛け足でやって来た。
4月半ばの穏やかな晴れの日、松本市街を少し離れた「The Harmony Hall(松本市音楽文化ホール)」まで
妻とのんびりと桜を眺めに出掛けてみた。


0416いつもの桜。.JPG

0416ハーモニーホールにて2。.JPG
ここは2010年に初めて来た時からのお気に入りの場所。
古い紡績工場の跡地を整備したらしく、
落ち着いた深い煉瓦色の建物を背景に敷地内には立派な桜が点在していて、
何よりいつ訪れても静かなのが良いところ。



0416桜用カメラ。.jpg
今回も持って行ったのはこの2004年式のディマージュA200。
もう10年選手ということになってしまうけれども、
桜を撮る時には今でも一番しっくりとくるカメラだ。

望遠側(200mm相当)でもf3.5と比較的明るいレンズのおかげもあって
絞りを開放気味にして撮った時の背景や近景のぼけ具合が
なんとも優しい雰囲気で好きなのだ。
昔ながらのカメラらしい形をしていることもあって、
このカメラで撮る時にはほとんど液晶モニター(今となっては小さすぎる1.8型)は使わず、
ファインダー(EVF)を覗きながら撮っている。
顔の前で右手でカメラを構えて、手動のズームレンズを左手で操作しながらシャッターを押す。
今時のカメラとは違って、自分がカメラと一体になったような感覚がある。
全ての反応がゆったりとしているけれども、今使っても特に不満は感じない。
これからも大事に使いたいと思っている。


☆☆☆


0416寝る子を起こす、その1.JPG

0416寝る子を起こす、その2.JPG

0416寝る子を起こす、その3.JPG
この日は、車庫で静かに冬を過ごしていたオートバイ達のエンジンにも
久々に火を入れたのだった。
車庫の出口から外への通路を妻が舗装工事中(笑)なので、
とりあえず車庫の入り口と窓を全開にしてエンジンをしばらく掛けてみただけなのだけれども
バッテリーを冬の間に時々補充電しておいたおかげか、すんなりと始動してくれた。
スクーターだけはどうもバッテリーそのものの寿命が尽きた様子。
別のバッテリーを充電しておくことにした。

ディマージュA200で撮ると、時として露出や色味(ホワイトバランスや彩度)が
大きく外れて笑ってしまうこともあるのだけれども
そういうポカが無ければ、しっとり・こってりとした深い色合いに撮れることが多い。
ブログに載せるために縮小してしまえば大して変わらないのかもしれないけれども
自分のPCの画面で見た時の繊細な印象は、やはりこのカメラの素敵なところだ。


☆☆☆

0416最後のカメラかも.JPG
なんて言っておきながら、新しいカメラを開封したのだった。
いったい何台目なの?なんて訊いてはいけません。

実は去年の秋に買っておいた、富士フィルムのXF1というカメラ。
2010年の春に買っておいた同じ富士フィルム製のF60fdというカメラを
3年眠らせておいてから去年の春に開封して旅行や散歩の時に使ってみて、
自分には富士フィルムの色合いがしっくりと馴染むように思えてきたのだった。

ボディのごく小さなカメラとしては、F60fdの1/1.7型の撮像素子は比較的大きい方だとは思うけれども
たまにディマージュA200(2/3型)で撮った画像を眺めてしまうと、その差はやはりそれなりにあって
同程度の撮像素子を持った、それでいて普段も持ち歩ける小型のカメラを
安価で手に入る時に買っておこうと思っていた。

この2台は、撮像素子の大きさも同じ、レンズのズームも手動。


0416最後のカメラ...かも。.JPG
ズーム操作が手動というのはなかなか画期的だと思いながら、
少しずつ価格が下がるのをどこか楽しみに眺めていた。
が、やはりというべきか、今一つ人気が出ずに
一年後に電動化したXQ1というモデルに生まれ変わってしまった。
本体や化粧箱などに「Made in Japan」の表示が誇らしく記載されていたけれども、生産は既に終了。

普段はレンズの鏡筒はボディに沈み込んでいて、
撮影する時には手で回しながら引き出し、その操作で電源が入るというややこしさ。
そう、そのややこしさこそが、このカメラのアイデンティティなのだ。きっと。



0416最後のカメラ...かも2。.JPG
普段は、専用のケースにこんな形で収まっている。
撮ろうと思ったら、ケースを取り出してマグネット式の蓋を開け
カメラを静かに引き出してしっかり握り、左指でレンズの縁を回して鏡筒を引き出し
電源が入ったことを確認してから被写体に向かい、鏡筒を左手で動かして画角を決める。
そんな一連の操作をしてから、ようやくシャッターだ。
全てのことがゆっくりと進んでいき、撮り終えた後は穏やかな気分になっている。


0423公園にて。.JPG
音楽会館での花見の翌週、この2台のカメラを持ってもう一つの我が家の花見の定番の場所へ。
空港周辺の広い公園に咲く桜を眺めに、妻の用意してくれたお弁当を持って出掛けてみた。

このカメラも、比較的明るいレンズのおかげもあって
普通のコンパクト・カメラと比べると立体感のある写真になった。


0423公園にて2。.JPG
こちらはディマージュA200。


0423花見弁当。.JPG
今回は豪華三段重ね弁当。
「もうね、玉子焼とかタコウィンナーとかは卒業したの」と胸を張る妻を横目に
いくつかの種類の違うおにぎりを頬張りながら、少し大人味のおかずを摘まんで。


0423木々の奥へ。.JPG
広い芝生の縁取りのように植えられた桜は、ちょうど散り始めた頃。
その奥の森へ進んでみる。


0423木々の奥へ2。.JPG
少し陽の遮られた木々の足元には、所々にスミレが群生していて
なかなか素敵な眺めだった。

☆☆☆


0423自宅で花見2。.JPG
暖かいうちに我が家に戻り、夕方になって陽が傾いてから
庭に去年植えた若い桜の花を眺めて、この春三度目のお花見。
ちょっと売れ残り風に置いてあったひょろっとした若木を植えたので
今年は花はつかないかも...と思っていたのだけれども
しっかりと綺麗な花を咲かせてくれた。


0423自宅で花見。.JPG
家の裏手には、花苗農家さんのビニール・ハウスがすぐそこに。
二人でのんびり花見団子に齧りついていると、農家の奥さんが
「ちゃんと咲いたね!他にも花、植える?」と声を掛けてくれて
妻はいそいそとハウスの中へ。

こういう平和な暮らしが、しっかり続けられますように。

▼信州に越してきてからのお花見の話
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2010年
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コメント 14

ナツパパ

FUJI XF1は、わたしも良いねえ、と思っていたカメラなのでした。
画像の色合い、わたしも好きです。
...うーむ、Canon EOSMを導入してしまった今、さらにFUJIまではちょっと。
残念無念だなあ。

...えええっ、たこウィンナー卒業なのですか。
去年までのお弁当を見て、駘蕩とした雰囲気がいかにも春に似合いに思えたのですが。
...カニさん形のウィンナーだったらまだ大丈夫なのだろうか。
by ナツパパ (2014-04-30 20:10) 

HIRO

こんにちは。
自分の好みに合う合わないは大事ですね。
で、いったい何台?(爆)
by HIRO (2014-04-30 20:38) 

knacke

なんて見事な桜!
まるで降り注ぐような桜。
雪が積もったようなそんな桜。
とってもとっても素敵です。
オトナサマオベントウがピッタリ〜!たこさんでもいいけど・・・。(笑
ちょっと異空間ですね、ココ。
サイザルのバッグも素敵です。

富士フィルムのXF1、奇麗なデザインですね。
専用ケースもいいなぁ。
harryさんはなかなかお買い物上手!
自分が好きなもの、好きなこと、好きな場所、似合うもの、
そういうの、みーんな分かってる、そんな感じがします。
by knacke (2014-04-30 22:12) 

harry

☆ナツパパさん、やっぱり(笑
 実はナツパパさんも書かれていたCanonのS100も
 同じように価格が下がるのを楽しみに眺めていたんですけど
 今一つ踏み切れずにいるうちに売り場から消えてしまって。
 Canonは多少の悪条件でも健康的で良い発色だったりしますけど、
 富士は条件が悪ければ正直に出てしまうような感じがしますね。

 あらら、たこウィンナーお好きでした?(笑
 妻曰く「卒業なんて言ったけど、ただ冷蔵庫に無かっただけかも...」
 とのことですので、次回の花見にはしっかりタコ&カニが
 復活するかもしれませんのでお楽しみに♪

☆HIROさん、こんばんは。
 はい、バイクもカメラも、好みに合わないことには
 いくら性能が良くても駄目ですよね。
 で、このカメラで20台目くらいかな...どうしよ(笑 
by harry (2014-04-30 22:16) 

harry

☆knackeさん、そう、ここは桜がかなりの量で咲いているんだけど
 公園の縁取りみたいに緩やかに弧を描いて並んでるのが
 また不思議なところで。その下にベンチが並んでいて特等席なのに
 平日に行くと誰もいなかったりして(笑
 今回のオトナサマオベントウはとても美味しかった!花マル。

 このカメラ、いい形だと思うんだけどな...
 きっと何年かすると、記憶に残るのは
 こういう思い切った製品じゃないかな、と。
 専用ケースも、普通に売っている黒いのは中が真っ赤なんだけど
 しばらく探してたら海外向けなのか、地味な組合せのが見つかって。
 このケースにしっかりしまって、この子も10年以上は
 大事に使ってあげようと思っております。むふ。

by harry (2014-04-30 22:30) 

FTドルフィン

フジはいろいろ
面白い機種を出してきますね

デジタルカメラは、成熟して
ほんと良く写る様になりました・・・
が、そうなると問題は
撮り手の自分の感性。。。
ふぅ。。。

お花見、お弁当
いいなぁ〜


by FTドルフィン (2014-04-30 23:12) 

harry

☆FTドルフィンさん、最近の富士はコンセプトがしっかりしていますよね。
 低価格帯のカメラから撤退して、Xシリーズに注力するという判断は
 とても正しかったのではないかと思います。
 個性がはっきり出ている機械は魅力があります。

 自分はカメラって「操作する楽しみ」もかなり大きいと思っているので
 性能もそこそこは大事ですが、触ってみて魅力を感じる機種を
 選びたいと思っています。

 毎年のことですけど、お花見って実に日本的で楽しいですよね。
 時間差でもう一回ぐらい何処かに見に行きたいなぁ...
by harry (2014-05-01 07:54) 

うえいぱうわ

デジカメって例えイメージセンサーが同じモノだとしても、
メーカー毎の味付けの差がありますよね。
それが好みに合うかどうかも、人それぞれっていうのは、
何か面白いなあと感じます。
カメラに限らず、バイクも似たようなところがありそうな。
by うえいぱうわ (2014-05-01 10:01) 

YASH

いったい何台目ですかー!!(笑)

桜、特にソメイヨシノの色って、カメラによって発色がかなり違って
出ると思いませんか?
自分のGX200は薄桃色なんですが、前に使っていたLUMIXは
A200のように白が強かったし、XF1は花芯の赤が出てますね。
s110もこれに近いかな。
そういう事を踏まえながら撮るのもカメラの楽しみの一つですね。

ところでそのXQ1を買う気満々だった私の元へ、
先週宅配が届いたんですが…。
ちなみに4台目ですb
by YASH (2014-05-01 21:27) 

harry

☆うえいぱうわさん、ほんとにそうですよね。
 メーカー毎に「こうあるべき」という考え方が微妙に違っていて
 それの受け入れられ方も人によって異なっていて。
 そういうのが機会と付き合う面白い所だと思います。
 以前に富士フィルムの技術者の方が「肌色の再現性を重視している」
 ということを話していて、興味深く感じたのでした。

☆YASHさん、はい20台目くらいかと(笑
 もう一生楽しめる位あるんです。えへん。

 確かに淡いのに色合いもしっかりある染井吉野は
 そういうメーカーの設定が判り易く現れるのかもしれないですね。
 A200は時として微妙なトーンがすっ飛んでしまうんですけど
 それはそれで独特な写真で面白かったりもして。
 
 あら、XQ1でなくて何に行ったのかしらん...
 もしかしてXZ-2とか?なんだろう、楽しみですねぇ。
 
by harry (2014-05-02 07:49) 

e-g-g

この季節、美しい桜の写真は山ほど目にしますが、
その気配やそこにいた人を包んでいた空気、
そんなこんなを感じさせてくれるものは、そう多くはありません。
静かで落ち着いた時間が伝わってきました。
拝見できて良かったです。

かつては写真にもカメラにもかなり執着しましたが、
絵を描くようになってから、カメラはメモの道具になりました。
描く際に目を惑わされる広角・望遠は不要、レンズは標準画角のみ、
必須は高性能のビューファインダー、
液晶モニターは無くても可、
必要以上に小さくなく、ある程度の重さがあること、
そんなカメラがあったらなぁ、と思いますが、
でも商品にならないでしょうね。

と書きつつ、
12枚目のディマージュの一枚、この奥行き感、良いですね〜

by e-g-g (2014-05-08 12:59) 

harry

☆e-g-gさん、いらっしゃいませ。
 桜って被写体としてもとても魅力的なのですが
 あの花をいくら見つめて撮っても、写真はその日の思い出には
 ならない...自分もそんな気がしていました。

 人の眼差しって、常に何処か一点にしか焦点は合っていないのだと
 思いますが、写真の多くは画面の隅々までピントが合っていて
 その辺りの違和感が記憶とどうも違う...という印象になってしまう、
 そんな気がして、敢えてぼぉーっと撮ってみたつもりなのです(微笑
 e-g-gさんの水彩でも、描き込みの密度のグラデーションのようなもの
 が、その場の空気の佇まいを感じさせてくれていますよね。

 ファインダー越しに風景を切り取るっていうのは楽しいですね。
 富士のX20という、今回持ち出した2台の良い所を合わせたような
 ちょっとクラシカルなカメラも良いなあっと思っているんです。
by harry (2014-05-08 22:48) 

neno

カメラって増えるものですよねwww
キックスタートのエンジンとかガソリンバーナーのプレヒートとか
儀式が必要な道具って なぜか男子心をくすぐります。
それにしてもCLのエンジンが綺麗!
スタンドかけた時に下を向くからか ウチのは左側のアルミサビに悩まされています...。
by neno (2014-05-09 17:53) 

harry

☆nenoさん、こんばんは。
 そう、世界の捉え方が無限にあるように
 カメラもまた無限にあってもそれなりに楽しめる...ような気がします(笑
 「便利」がこれだけ幅を利かせている時代に「手間」を強要する機械
 自体が貴重な気もしますね。
 その手間を通して機械の成り立ちを考えたりして。

 シリンダーのフィンは放っておくとどうしても腐食してきますよね。
 自分はたまに気が向くとCRC 5-56を吹きかけて
 硬めのブラシでこすったりしてます。お試しあれ♪
by harry (2014-05-09 22:17) 

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