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夏休みの思い出 - その2。 [のりものいろいろ]

麦畑スキーム2。.jpg
0814夏休みらしく2。.JPG
二人で暮らす最小限の大きさで考えた家に、お客様を呼ぶとどうなるのか...
なんて、少しは不安もあったのだけれども
食卓は畳んである天板の一部を引き出すと十分広く感じられたし、
何より当のお客様がこれまでキャンプやいろいろな場所で一緒に寝泊まりしたことのある
YASHさんだったので、我々もほとんど普段と同じように
のんびりと過ごすことができた。

妻の手造り餃子を皆でつついて、その後は静かに花火。


0814夏休みらしく。.JPG
子供の頃の線香花火は、それこそ二・三本で飽きてしまうくらいに
一本が燃え尽きるまでが長く感じられたのだけれども
今売っている線香花火は、本当にあっという間に終わってしまう。

「日本製じゃないから、かな」

よし、次回は国産の線香花火を探してみよう。

小さく煮えたぎっているような線香花火の芯を凝視しているうちに、
外はすっかり涼しくなってきて、ひんやりと肌寒さを感じるほど。
このメリハリが、いいのだ。


0814 4台目。.JPG


☆☆☆



0815プロフェッショナル。.JPG
昼間のうちにお願いしたひと仕事は、こんな妻の造りかけの掃除用具入れを完成させてもらうこと。
集成材の板材が安く売っていたらしく、それを組み合わせて
洗面台の壁に出張っている同じような材質のエアコンの収納箱の下に
掃除用具を収納したいのだそうだ。
仕上げまで自分でやるつもりだったようだけれども、どうも扉が微妙に大き過ぎて
上手く嵌らない上に、見た目と質感で選んだ丁番が大き過ぎて、上手く付かないらしい。


0814サインしてもらって....jpg
目の輝きが普段以上に鋭さを増して仕事人の表情に変わったYASHさん。
しばらく素材を眺めてから、おもむろに作業に入ると
そこはさすがにプロで、瞬く間に妻が思い描いていた形に収まった。
当然なのかもしれないけれども、日曜大工の世界とは精度と速さが全く違う。

見とれることしばし、記念にサイン(照れなのか、かなり手抜きっぽいサインだったけど)まで
入れてもらって、完成。ぱちぱちぱちぱち。


0814プロの道具。.JPG
職人さんの道具の佇まいは素敵だ。
鉋の本体の飴色具合の美しいこと!


0815掃除用具入れ完成。.JPG
おかげさまで、無事にこんな収納家具として収まりました。
有難うございます。大事に使います。


☆☆☆


0815霧の中。.JPG
翌朝は快晴の兆し。
さらりとキッチンカウンターでミューズリーとパンを流し込んでいるうちに
空は青さを増して眩しいほど。

元はと言えばYASHさんの記事で教えてもらった高ボッチ高原へ向かってみることにする。
東京から来た時は遠路遥々という印象だったけれども、我が家からはほんの30分ほど。

なるべく国道を走らないように畑の中の一本道や地元の人の通る近道を選んで
登り口まではスムーズに到着したけれども、もう少しで頂上、という辺りから
辺りはすっかり湿り気を帯びた乳白色の空気に包まれてしまった。
高原の入り口で小休止して、YASHさんは雨具を着込み、
ワタクシもメッシュ・ジャケットの下に薄手の防寒着を着ることに。


0815山荘。.JPG
以前、夏に妻と二人乗りで訪ねてクッキーをご馳走になった
素敵なバリトンの声のマスターが居る山荘まで登ると、
ジャケットや手袋も霧雨を吸って、すっかり重たくなっていた。

でも、ここを流れる風の気持ちの良いことと言ったら。
今が夏だということが何かの間違いのような気がしてくる。

「寒かったでしょう、中はストーブ炊いてるから、ほら暖かいですよ」
入り口で親切に案内役の女性が声を掛けてくれるのだけれども、
二人揃って「外のテーブルで珈琲、だね」「うん」。

風はひたすら一方向から吹いて来ていて、木々は皆いびつな形になってしまっている。
時折、霧の中から浮かび上がるようにクルマが上がってきて、駐車場へ入っていく。
我々が着いた時に岩山に立て掛けてあった自転車数台が降りていき、
しばらくして、しっかり雨具を着込んだ若者が皆に見送られて降りていくと
山荘の入り口はちょっと静かになった。


0815霧の山頂。.JPG
こういう限定的な場所で半年近くを過ごすというのはどんな感じなのだろう、
なんて考えてみたりもするけれども、我々の暮らしだって大なり小なり限定された世界の中で
無理矢理に成り立っているだけの生活なんじゃないかな...などと思ったりもして。

ぼそぼそと話しこんでいるうちに、霧がすっと流れ始めた。
そろそろ行きますか。



0815一瞬見えた諏訪湖。.JPG
高ボッチの駐車場まで降りると、一瞬、山の谷間に諏訪湖と周辺の街並みが見えた。
反対側には、松本平もかなり明るく見えている。下界にはきっと夏の日差しが降り注いでいるのだ。


0815パン屋さん。.JPG
下り道を降り切ってしまうのが少し惜しいような気がしつつ、ほんの数分でいつもの松本市街まで。
なるべく市街地を走る時間を短くして、街の北端から山を越えて豊科方面へ出て
そのまま西に進んで安曇野へ。

盆の15日とあって、県外のクルマばかり。
何度か来たことのある天然酵母のパンを焼く店に立ち寄って
お互いにお土産を買い込んだ。
そのまま、少し遅めの昼に蕎麦でも...と思ったのだけれども
思った通りと言うべきか、蕎麦屋という蕎麦屋はどの店も外まで行列が伸びていて
とてもそんな苦行に付き合う気分にはならなかった。

無造作に毟ったような雲が点々と広がる夏空の下を我が家の方向へのんびりと走っていき、
どこか何もないような場所で、買ったばかりの暖かいパンでも齧ることにした。



0815林檎畑で一休み。.JPG
絵に描いたような牧歌的な農村風景が過ぎていき、少し山の斜面に登っていくと
梓川に近い一面の林檎畑に出た。
水路の脇のツメクサのような柔らかな草で覆われた場所に腰を下ろして、
まだいい香りのするパンに二人して齧りつく。
空が広い。

こういう何も気の利いたものがないという場所が、
何だかとても得難い貴重なもののように思えてきたのは
ほんのここ数年のような気がするのだけれども、
こういう時間を一緒に楽しめる仲間がいる、というのは
かなり幸せなことだと思った。


0815狐さんと。.jpg


☆☆☆


まだしっかり陽の明るさが残っているうちに我が家に戻り、一息入れると
柔らかな鈍器で殴られたかのように急激に眠気が襲ってきて、
YASHさんが「雑誌、ちょっと見せてもらいますね...」と寛いでくれているのを横目に
自分だけ和室の畳の上で眠りに落ちてしまった。
少し遠くで、YASHさんと妻がぼそぼそと何か楽しそうに話しているのが聞こえたような
気がするのだけれども...本人はすっかり夢の中へ。

実際にはそんなに長い時間ではなかったのかもしれないけれども、
ふと眼を覚ますと、YASHさんは「じゃあ、そろそろ行きますね」と
盆の混雑を避けて早目に帰り道に就こうと腰を上げたところ。
艦載機を器用にしまう様子に二人で見とれて、しっかり手を握ってお別れした。
次回は奥さんも一緒に、ね。



0815じゃんずら、って言われても。.JPG
客人をお見送りして、しばらくすると強い雨になった。
今日は年に一度の地元の夏祭りの日。陽がすっかり沈むまで待っていると、雨も収まって来た。
混雑しそうなので、久々にスクーターで行ってみようか。


0815じゃんずら、って言われても2。.JPG
思った以上に盛況なお祭りだった。
集落の知り合いが踊り手の中に居たり、
集落ごとにしっかりとテントやらテーブルやらを用意していたり。
我々もご近所の知り合いが壇上で踊る様子を写真に撮ったりして
それなりに楽しんで帰って来た。

ちなみに、祭りの名前は「山形じゃんずら」というのだけれども
この地の方言で「~じゃん」(=~だよね)、「~ずら?」(=~でしょう?)という語尾を
取って付けたのだそうな。

ワタクシもそのうちに妻に向かって
「おめがこの間そう言ったずら?」
なんて言うようになるのかしらん...


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コメント 12

Nori

シャレた掃除道具入れですね。
職人の手が入ったものって、しゃんとした感じがするから不思議です。
国産の線香花火。
あるんですよね。まだ。
by Nori (2012-08-24 01:18) 

MORIHANA

∥-・)ノ 良い夏休み♡ 良い夏の思い出♡
by MORIHANA (2012-08-24 08:50) 

POP

おはようございます。
大人の素晴らしいお付き合いだと思います。
子供のように、はしゃぐのは、当人達は
面白いのですが、はたから見れば、
いい歳した大人がみっともないとしか言い様がないです。
そう思っていても私は、つい、熱くなってしまいますが・・・(^^ゞ
by POP (2012-08-24 10:18) 

knacke

地面から1cmほどフワリと浮いたような、そんな時間ですね。
物語の中みたい。
by knacke (2012-08-24 10:28) 

MORIHANA

かぶってる、ずら? 
と、いう用法もありでしょうか。 にひ。
by MORIHANA (2012-08-24 19:06) 

うえいぱうわ

あめ色になった、カンナ。
職人さんの使い込まれた道具って、独特の説得力を
感じます。道具が語るっていうのかな。うまく表現が
できないのですが(笑)

by うえいぱうわ (2012-08-24 19:06) 

YASH

やっとコメント入れに来られました(汗)
日曜大工はその過程と出来上がりの満足感に尽きますね
平日大工と違うのは、それでココロの安寧が得られる事?

お祭り時間は雨が上がってたんですね。
良かった良かった。
あの涼しさなら、夕涼みっと言葉がぴったりかも。
今度は夏の春日井へ遊びに来てもらって、
保冷材おでこに当てながら多治見や瀬戸へ散歩に行きましょう♪
by YASH (2012-08-26 14:19) 

なおネィ

忙殺前のステキな夏休みだったんですね。
YASHさんの耳に挟んだ鉛筆がいいなぁ。
日曜、アートラインから豊科へ向かいながら
こんなに気持ちのいい道へひょいと出掛けられるharryさんを
うらうやましく思ってました。

ブーツの試着したまま、ご挨拶もせず消えてごめんなさいです。
またゆっくり伺います。m(__)m

by なおネィ (2012-08-28 11:27) 

harry

☆Noriさん、いらっしゃいませ。
 半分だけ扉になってまして、結構しっかり収納できるみたいです。
 必要な形に合わせて寸法を決められるのが手作り家具の良い所で。
 仰る通り、プロの手が入ったらシャキッとしました(微笑
 この後、国産の線香花火を楽しんでみたら、やっぱり違いましたねぇ。

☆MORIHANAさん、どうもありがとう。
 しみじみと、いい夏休みでした♪

☆POPさん、こんばんは。
 我々はどうもやかましいのも苦手だし、
 皆で一緒に何かすること自体が楽しい、というわけでもないし...
 ちょっと天邪鬼なんでしょうね、きっと(微笑

 POPさんの爆発バイク談義にいつか加わらせて欲しいなぁ...
 と思ってます。
by harry (2012-08-28 23:19) 

harry

☆knackeさん、こんばんは。
 なんだかね、自分でも思い出すとちょっと夢のような
 楽しい夏休みでしたよ。
 お互いに言葉に出さなくても判る、という雰囲気があって。
 いいでしょ。

☆MORIHANAさん、そういう時は
 「おめ、それズラずら?」
 です(笑

☆うえいぱうわさん、こんばんは。
 仰ること、なんとなく判ります。
 職人さんの道具は手に馴染んだ独特の風合いがあって
 いいですよね。
 自分もそういうものを持っていたいな、と思ってます。

☆YASHさん、もう2週間も前の話なんですって(笑
 時間が経つのは速いけど、あの時の空気は今でもリアルに感じます。
 そう、日曜大工は達成感が得られやすいのが良い所です(笑

 あのあと、しばらくすると雨も上がって、しっかり花火も。
 盆踊りものんびり楽しんで、焼きそば買って。平和でした。
 夏の春日井!それは拷問です...
 できたら、晩秋くらいで許して下さい(笑

☆なおネィさん、いらっしゃいませ。
 そう、イベント準備直前の、ぽっかり一瞬空いたお休みでした。
 YASHさんが職人に変身すると目の色が青くなるんですよ。
 くだらない冗談とか言ってると鋸で切られそうなので
 隣で大人しくしてました(笑

 今年の白馬はお湿りもなくて暑さが厳しかったですね。
 次回またのんびりお話しできれば、と思っております♪
by harry (2012-08-28 23:36) 

HIRO

こんにちは。
日曜大工での問題点も奇麗に片付いてしまう…流石に、熟練なプロの技ですね。

地元の祭りや言葉に馴染んで行くのも住んでいるという実感が…
by HIRO (2012-09-13 22:04) 

harry

☆HIROさん、YASHさんの手際の良さは流石でしたよ。
 その道のプロの作業というのは、クルマの整備なんかでもそうですけど
 見とれてしまうものですね。勉強になりました(笑

 この先もこの土地でずっと暮らすつもりなので
 しっかり楽しんでみようと思っています。
by harry (2012-09-19 01:07) 

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