スペック軽視主義。 [HONDA CL400]
乗れる間に乗っておこう。
会える時に会っておこう。
そう思って、職場を半日だけ空けさせてもらって出掛けてきた。
わざわざこんな不人気なバイクを好んで買った人たちの集まりなのだもの。
土曜の晩に仕事を終えて帰宅してから、おもむろに着替えや地元産のワインなどを詰め込み
出来る限りの寒さ対策をして、中央道へ。
下半身はヒートテックのタイツに動きやすいナイロンのパンツ、
その上から中綿入りのライディング・パンツ。
上半身は化繊のTシャツに薄手のフリースのタートルネック、
モンベルのライトシェル・ジャケットを重ねて、最近半額で手に入れた冬用ジャケット。
こんな色のジャケットは持っていないし、こういうハイテクではないジャケットが
どの程度寒さに通用するのかを試してみたいと思っていた。
5万円を超える定価に手が出せずに2、3年眺めるだけにしていたけれども
ふと半額のセールでMサイズが1着だけあるのを見つけて、ぽちっと。
一番手強い寒さを予想していた八ヶ岳近辺の高速道路最高地点辺りでも
寒さは何とか耐えられるレベルだった。
心臓の近くに貼った使い捨てカイロが密着するように、深く息を吸って胸を膨らませたりして(笑
以前に新潟まで夜出掛けた時のように全身の震えが止まらなくなるようなことも無く、
唯一きつかったのは右手の親指が凍えて痺れたことだけ。
夏に取り外したハンド・ガードを付けずに出掛けてしまったのだから、仕方がないのだけれども。
景色も楽しめない夜の高速道路で、寒さを紛らわすために漠然といろんなことを考える。
オリバー君に跨っている時に感じる「持ちつ持たれつの一体感」とはかなり違って
銀馬号では自分がしっかりしていないといけない、という気分になる。
スロットルは意識的に深く開け続けないと車の流れに乗れないし、
ぼーっとしながら登りに差し掛かれば、みるみるとスピードは落ちていく。
でも、料金所を過ぎて一般道に出た瞬間に感じる不思議な開放感は幸せに満ちている。
富士山に向かっているという寒さも忘れてしまうくらいに。
このマシンでの4速、50-60km/hあたりは黄金比的な気持ちよさなのだ。
ほとんど休憩もせずに皆の集まっている精進湖のほとりの民宿にたどり着くと
顔見知りのメンバーが揃っていて、ほっとした。
いつも穏やかな飲みっぷりのMさんに、心臓を暖めてくれていたカイロをおすそ分け(笑
久々に翌日に残るくらいにアルコールを摂取して、ひどく透明度の高い深い眠りの世界へ...
翌朝。
晴れてくるのだろうけれども、濃いミルク色の朝靄に阻まれて富士は欠片も拝めず。
CLが4台も!
って、感激してる場合じゃないけどね(笑
▲写真提供:boo-peeさん
皆さんに挨拶して、一足先に出発。午後はしっかり働くのだ。
精進湖畔もこんな夢の中のような景色。
この先に富士がぽっかり浮かんでいるはずなんだけど...
紅葉も流石に散りかけていた。
吐息で曇るシールドを跳ね上げながら、湖畔をあとにして再びの山越え。
甲府側に抜けるトンネルを出た途端にいきなり空気がくっきりとして
空は冗談のように澄みきっていた。
前の晩の装備のままでは、ちょっと暖かすぎるほどで。
八ヶ岳への登りに差し掛かっても寒さを感じることは皆無だった。
オリバー君で移動しているときに比べると平均速度も2割くらい遅めなので
景色を眺める余裕があるはずなのだけれども、
同時にミラーに迫る後続車を気にすることも多くなって
いつも以上に周囲を見渡しながら走る。
100km/hを少し下回るくらいのスピードでは
エンジンはルルルルル...と気持ち良さそうに唄っていて、なんとも長閑だ。
ローテクなジャケットとあいまって、こういう旅も悪くないと思えてくる。
結局のところ、自分にとってバイクは気が合えばすべてOKなのであって
スペックとか機能なんて特に重要ではないということを再確認した。
銀馬号は滑らかに回るエンジンと、余分なものが一切付いていない潔さ、
何よりのびのびとした車体のデザインが自分の好みに合っているというだけのこと。
セル・モーターが無い分、バッテリーは小振りな割りに長持ちするし
ハンドリングに不自然な癖は無く、主人に素直に反応する。
その分、主人もしっかりしなくちゃな...なんて思わされたりして。
10年経って、以前よりも愛着が深くなってきたということは
機械にとっても自分にとってもかなり幸せなことなんじゃないだろうか、とふと思った。
その気持ちよさ、なんとなく分かります。
こういうのを「馬が合う」と言うのでしょうね、文字通り :-)
by luka (2010-11-24 12:42)
ほんとバイクで走ってるといくら防寒万全にしたつもりでも寒いですね、冬はハイテクの伝熱ウォーマーのジャケット&パンツとグリップヒーターで完全武装しないといけないかなと思ってます。
あっ、気合いがあればそういの要らないんですが。(笑
自分もいろいろ乗ってはすぐ手放してを繰り返してきましたがここにきてようやく固まりつつあります、ので今考えてるバイクは長く乗っていけると思ってます^^
by イナテツ (2010-11-24 14:06)
おニューのジャケットだったのですね。
harryさんの雰囲気にもCL君にもすっかり溶け込んでいました。
サングラス爆笑しました~
カメラにまで。。芸が細かすぎます!ww
by boo-pee (2010-11-24 19:44)
寒い中お越し頂きありがとうございます。
数年前に始めてミーティングでお会いした方々と今も会って飲んで話をするって不思議な気分でした。
また、飲み会やりましょうww
by シューヘイ (2010-11-24 19:53)
harryさん始め皆さんにお会いしたかったのですが、今回は残念でした。
次回はぜひ。
松本あたりも寄りたかったのですが、そろそろ雪の季節で、それも難しそうです。
by hiro-cl- (2010-11-24 22:06)
クロスオーバーな車体だと言う印象なのですけれどね。CL。
高性能を求めて高剛性にするのではなく、しなやかに力を逃がす感じ。
趣味で乗るにはちょうどいい。そんな感じでしょうか。
紅葉が似合うバイクって、いいですねぇ。
自分に合うバイクって、何だろう??なんて、考えちゃったりして。
by Nori (2010-11-24 23:17)
私もF6やシェルパよりも妻のApe100を借り、街中を
走るときにホッとする自分を発見することがあります。
どのバイクが自分の身の丈に合っているのか、、、
なかなか難しい命題です。
CL、肩ひじ張らずに乗れそうなバイクですね。
by カズ− (2010-11-24 23:30)
浮腫んだタモリか
埼玉のやしきたかじん・・・
モニタは面通しの容疑者・・・
いやぁ~!
アノぶつ…
朝方まで超暖かかったデスよー!
もしかしたら
トイレに行かなかったもんねー♪
あっ…詩的なブログの
雰囲気を壊してしまうカキコでしたネ…(汗;
harryさんにかかると
CLちゃんも
生きているねー♪
by Mです (2010-11-24 23:35)
kobabanさん曰く、オイラはBMWに乗ってる時よりもCLの方が
速いんだって(笑)
やっぱり軽いっていうのは武器ですねぇ。
そういえば余計な物1個だけ付いてますよ。
マフラー1本の方が軽くて良いじゃん。 なんてね(爆)
by rascal (2010-11-25 18:10)
素敵な記事を拝見できました。
モノと人との繋がり、仰る通りだと思います。
たしかにスペックなどではなく相性なのですね。
わたしも10年以上愛着の続くモノを幾つも持っていますが、たしかに幸せです。
by ナツパパ (2010-11-26 09:36)
手になじむというか、波長が合うというか
しっくりくる道具というのは、自分の体の
延長みたいなモノですしね。
こういう旅もいいな。
by うえいぱうわ (2010-11-26 21:30)
ミーティングお疲れさまでした。
CL400が一度に4台もある状況に、出くわしたことはありませんので
それだけでも、とても面白そうですね。
少し前に見た中古CLに、「一部マニアの間で人気の…」
なんてコメントがあり、ニヤっとした覚えがあります。
好みの問題はありますが、確かにホンダがある時期
一石を投じた感のある、良いオートバイだと思います。
ただ、そのままあらぬ方向に飛んで行ってしまい、どこかにまぎれてしまったか
、水面を心地よく跳ねながら飛んでいき、失速して沈んだかなと思っています。
アンダーグラウンドで、背中に「インディペンデンス」をしょってる感じがして気に入ってます。
by 木菟 (2010-11-27 11:06)
☆lukaさん、こんばんは。
そうそう、文字通りそんな感じで(笑
いい加減なワタクシに適度にぴったりして、いい具合なのです。
☆イナテツさん、この間はありがとうございました。
確実に若かった頃の方が薄着だったような気がするんですけど
今は寒さに耐える精神力が弱くなったような...(苦笑
でも、指先とか首筋とか、要所を守れば何とかなるものですよね。
例の件、ちょっとバタバタしているんですが、
近々必ずご連絡しますので少しお時間くださいね。
☆boo-peeさん、戴いた写真を追加してみました。
CLだと本当に「散歩」という雰囲気で出掛けることが多いので
気合いが外に出ないジャケットが欲しかったんです。
まっきぃさんの写真、いいでしょ(笑
boo-peeさんの構えたカメラが写ってるのが、また良くて。
☆シューへイさん、楽しい飲み会をありがとうございます!
雨も何処かへ行ってくれたし、リラックスできて良かったです。
長野集会の時はいいところ案内できるように考えておきますね♪
☆hiro-clさん、今宵はどちらでしょう。
長旅で逞しくなっちゃったかな。
松本もそれなりに古い建物などがあることはありますけど
城を囲んだ街が自然に今でも成立してるあたりは独特かも。
機会があったらぜひ立ち寄ってみてください。
by harry (2010-11-27 21:39)
☆Noriさん、いらっしゃいませ。
しなやかに力を逃がすようなフレームですね、確かに。
よく見るとスプロケットの位置とスイングアーム支点を
しっかり近づけて長いスイングアーム長を確保してたりして、
真面目な設計だと思ってます。
紅葉もいいし、田んぼにも似合うんです(笑
とりあえず気に入ったバイクに乗り続けてみる、
っていうのも一考ですよね。
☆カズーさん、こんばんは。
それそれ、わかります。自分もハンターカブに乗っていた頃には
「あー、このバイクにしかない乗り味だなぁ」って思ってました。
ある種の開放感というか、自由さがありますよね。
買ったばかりの頃は大きく重く感じたCLですけど
今、散歩気分で楽しめるのが不思議な気もしています。
☆M=まっきいさん、こんばんは。
この写真、個人的にかなり気に入ってるんです。
まっきぃさんの表情が良くって(笑
アレのおかげで凍らずにたどり着けましたからねー。
ワタクシのブログは思いつき炸裂というだけで
けっして「詩的」ではないのですが
CLって今時珍しい詩的なバイクだったのかもしれませんね。
真面目に長生きさせたくなってきました。
☆rascalさん、もうすっかりメンバーに馴染んでたね。
軽いっていうのはバイクでもスポーツカーでも
絶対的な正義のような気がします。
あのマフラーはヘンなんだけど
アレが無かったらCLじゃなくなっちゃうから
意地でもノーマル命(笑)で行きます。
by harry (2010-11-27 21:55)
☆ナツパパさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
自分も昔からカタログとにらめっこしたりしながら
じっくり悩んで買い物していた時期もあったのですが
最近は直感的に選んでしまうことが増えました。
理由が無くても欲しかったらそれでいいし。
それが丈夫で永く気に入って使い続けられたら、
本当に言うことないですよね。
☆うえいぱうわさん、こんばんは。
そう、自分の延長という気分ですね。うまい。
そんな風に感じるようになって、もう手放せないという。。
そういう道具となら、近くでの散歩も楽しさ百倍なのです。
☆木菟さん、行ってきましたよ。
自分が参加し始める前の初期の集まりでは数十台集まったという...
今となっては奇跡ですね。
ホンダとしては、今に繋がる「趣向の多様化」に向けて
一種の提案商品として造ったんじゃないかと思うんですけど
10年後の今の方が輝いて見えるような気がします。
技術力でエコを叫ぶよりも、何も余分な装備が
付いてないってことが今だからこそ貴重な気がして。
この先はもうこういうマシンは出てこないかも、ですね。
by harry (2010-11-27 22:05)
このジャケット、どこかの店先で見たことありますよ。
おお、harryさん的、とか思って見てましたけどやっぱりね(笑)
冬のジャケットに関しては、ちゃんと風をブロックしてくれるアウターと、
中薄手のダウンのインナーの組み合わせで、大抵の寒さには
立ち向かえると思うようになりました。
もちろんカイロもブースター代わりには必需品ですけどね。
こちらも先日3日間乗っていて、やっぱり自分の感覚に合ってるのを
再確認していました。
乗って気持ちいいとか楽しいというのは、数値に出ない部分から
感じるのかもしれませんね。
元々スペック的に大したことないから古くなっても気にならないし、
もうしばらく乗ろうと思っています。
by YASH (2010-11-28 01:32)
“気が合えばすべてOK”
そうですね
結局、売り手のスペックに
気がつくと振り回されている自分に
ふと気がつくことが多いです。
次から次へと買っては捨ててになるんですよね。
エコとか言ってモノが売れてますけど
“買っては捨て”の方向性が一番の問題な気がします。
気の合うモノと長くいきたいですね。
by FTドルフィン (2010-11-28 11:47)
☆YASHさん、お見通しでしたか(笑
なかなか風合いも良くてね、今風のデザインじゃないところが
かえって妙に気になってたのです。
インナーの良く出来たものが増えたおかげで、風さえ封じれば
確かに何とかなるものですよね。
バイクはクルマ以上にスペックが当てにならないですね。
なんで気に入ったかのかも判り難かったりして。
「好きな異性のタイプは?」なんて質問が100%無意味なのと
同じことなんですけどね(笑)。ようやくわかってきました。
☆FTさん、最近ちょっと情報過多ですよね。
知らない方が幸せ、ってことも多いような気がしてきます。
エコで買い替え、なんて踊っちゃうとイカンですね、ほんとに。
そんなわけで、僕は「捨てずに取っておける物」は
買い足しちゃうことも多いんですけど(カメラ!)、
クルマやバイク、大きな家電製品などは
ほいほいとは買い換えられずにじっと考えてます。
デスクトップPCは5年目、でもまだ大丈夫みたい。。
by harry (2010-11-28 21:20)