良いペンがあると人生は(さらに)楽しくなる。

「日中はぽかぽかとした行楽日和になりそうです」
そんな日に、健康診断を受けにかなり大きな病院へ。
胃を観るための内視鏡を鼻から通すのだという。

清潔な診断室で、絵に描いたような感じの良い看護婦さんに
直径6mmほどの透明な柔らかいチューブを静かに鼻に射し入れられた。
全体にクリーム状の麻酔液を塗ってある。2、3センチ入ってからその先で、かなりの痛さ。
「ぁ、痛いですよね。狭いんですねぇ...じゃ、右に入れてみますね」
さらに痛い。
「あら、こっちの方がもっと狭いなぁ。やっぱり左にしましょう。ね♪」
麻酔が効いてくれれば痛みも引くのだと自分に言い聞かせて、じっと意味無く天井を見つめている。
そのうちに目を閉じて、片足はもう夢の世界へ...




「内視鏡の準備ができましたので、こちらへどうぞ」
喉の奥までぼんやりとして妙な感触。
今度は無精髭の逞しい男性の医師が何かの武器のように内視鏡をぶらぶらさせて近づいてきた。
「えーと。左、ですね」ずずずず...
ぐは。顔を思わず歪めてしまうほどの痛さ。
「あ、痛かったら『痛い』って言ってくださいね」
ええと、痛いです。
「あー。狭いな。じゃ、右は...」
だから、もっと痛いです。
とは言わなかったけれども。
「はあ。じゃあですねぇ、申し訳ないですけど、普通に喉から入れましょう」

なんともぐったりしてしまう数分が過ぎて、終了。
健康だということが確認できてよかった。
看護婦さんとかお医者さんって大変な仕事だなぁ、とあらためて思う。感謝しなくちゃ。


☆☆☆



前の記事に書いたステッドラーのマルチペンと、
その前に使っていたロットリングのもの。
手前のロットリングの3in1というモデルは真鍮製のボディで
ロットリングらしいつや消し黒に赤のライン、
アクセントのアルミ色の組合せに惹かれて手に入れたのだけれども
シャープペンの芯が簡単に折れてしまうのが致命的だった。

ステッドラーのものは高級感も無いけれども、必要十分で使いやすい。
何より仕事用にはこの軽さがいいのだ。胸ポケットに収まる短めの長さなのも美点。



筆記具って、その気にさせてくれる質感とか重量のバランスも大事だけれども
機能がきちんとしていないと、だんだんと手元から離れていってしまう。

メモ用に買ったNAVA(イタリア製)のシャープペン。
全体の雰囲気はかなり気に入っているのだけれども、これも結構簡単に芯が折れてしまう。
結局ペン皿にいつも眠っている。



機能だけを考えたら、このペンはかなり具合がいい。
ステッドラーの製図用シャープペン、925 35-05。
細かく刻まれたローレットは少し皮膚に痛いほどで、気合いを入れたい時にはなかなかいい。
でも、これを握っていてアイデアが湧き水のように広がってくる...ということはないような気がする。
ちょっと何かが足りない。



奇怪なデザインのプラチナ万年筆製の製図用シャープペン。
これが製図用？という不思議な気もするけれども、実に書きやすくて大好きなペンだ。
ちょっと太めなボディと、硬すぎない滑り止めが自分にはぴったり合う。軸が短いのも良い。
先端は適度に絞られているので、実際に製図用にも具合は良さそう。
この「他の何にも似ていない」という潔いデザインはなかなかだと思う。
良い形とは思えないのだけれども、使っているうちに魅力的に見えてきた。
そういうものを見つけるのも、買い物のささやかな楽しみだ。



やって来たばかりのオイルヒーターは、期待したとおり実直に働いてくれている。
24時間式のアナログなタイマーがなかなかの使い勝手で、かなり重宝しそうだ。
デロンギ製品にも似たものがたくさんあるけれども、
タイマーが「ジジジジ...」と音を立てて動くのが気になる、という評判も聞いた。
その点、このDBKのタイマーはほぼ無音。

朝、2階の寝室からリビングに降りてきた時に
なんともいえない柔らかな暖かさが広がっているのは、かなり幸せな気分だ。




あまりにも風が強いので、今日は巣篭もり。
久々にエスプレッソ・マシンを動かしてみたりして。
普段出来ないことをやっておく、というのも
休日の正しい過ごし方ではないかと思うのであります。

タグ：DBK オイルヒーター ステッドラー NAVA プラチナ万年筆

コメント 9

最近買って、具合の良いペンといえば、
UNIのKURU-TOGAですね。
シャープペンシルの中ではなかなかの
書き心地。
今は長いこと付き合えそうな万年筆を
探しています。

by うえいぱうわ (2010-11-10 19:49) 

2D-CADは手書きがPC操作になっただけで
線は書いてるのと同じ。
3D-CADになると図面は
3Dモデルを投影したものになります。
僕は手書きから入った世代なので
製図時のペンはいろいろ試しました
個人的な好みかも知れませんが
製図には重いペンが意外と良かったです。

基本的には
太い線は0.5、細い線は0.3のシャーペンを使うんですが
慣れると
0.5のシャーペンで0.3の太さも引けるようになるんです。

なつかしいなぁ〜。。。
by FTドルフィン (2010-11-10 20:39) 

こんにちは。
やはり、使い心地とかで、御贔屓が出て来ますね。
文房具もマニアが居るのは判る気がします。
by HIRO (2010-11-10 20:50) 

昔ギャンブル場に行くと耳に赤ペンかけてた人いましたが自分も仕事で耳に鉛筆を、ので鉛筆も未だに使ってます〜
胸ポケットにはしっかりシャーボが入ってるのに。（笑
by イナテツ (2010-11-10 22:51) 

ステッドラーのマルチペン、製品の精度が高く、ステディな
感じがします。
私も使っていましたが、確か持つところがちょっと滑るんで
すよね。
by カズ− (2010-11-10 23:38) 

健康診断、お疲れさまでした。
なんか、これでもかと甘栗さんが。。。
ペン先でブスッといかないで下さいね。（笑
この週末は、おいしいモンブランを買いに出掛けようかしら。と。
近所に一軒、美味しいとこ見つけたんですよね。
このごろは、耐水性ゲルインクのボールペンばかり使ってます。書き味のしっくり来るのがなかなかないんですけどね。
それ以前に、もっと、奇麗な文字を書きなさいと、筆記具に叱られているような気もします。（沈
by Nori (2010-11-11 00:11) 

えー鼻からやったのですか!?で結局のど?
私は先生の腕がいいので当分口から...

マルチは使った事ないです、あ
メーカー不詳プラ製はありますけど(爆
あと官庁関係にも置いてあったような...
　
by RO (2010-11-11 13:45) 

☆うえいぱうわさん、こんばんは。
　KURU-TOGA、なかなかの優れものみたいですね。
　そういえば、製図でシャープペン使っていた時には
　よく自分でペンを回して同じことやってました(笑

　万年筆は選択肢が広すぎて深みにはまりそうなのがコワイです。
　なんて言いながら実はPelikanのを1本買っちゃいました。。

☆FTさん、僕も仕事の時は比較的重たい金属製のが好みでした。
　ロットリングの重たいのとか。
　大事な図面引く時には、芯を回しながら尖らせてみたりして...

　社会人2年生くらいの頃に、
　職場にイタリアで修行してきた人がいて
　その人の図面は太目の芯で強弱をつけたデッサンのような図面で。
　いろんな表現の仕方があるものだなぁと目から鱗でした。
　なつかしいなぁ～。。。

☆HIROさん、こんばんは。
　考えてみると筆記具を使わない1日ってなかなか無いですものね。
　パソコンではいくらタイプしても、文字を書いた時の
　なにかを生産した気分にはなれないんですよね。。

☆イナテツさん、京王線の府中周辺にもそういう方よくいます(笑
　鉛筆の気持ちよさは独特ですよね。
　今回1.3mm芯のシャープペンを買ってみたんですけど
　0.9mm以上になると独特の滑らかな書き味があって
　鉛筆に似た気分を味わえるような気がします。
by harry (2010-11-17 22:57) 

☆カズーさん、こんばんは。
　あ、お使いでしたか、このペン。たしかにちょっと滑りますね。
　でも、潔くて無機的な感じがかなり気に入ってます。
　この小ささと精密な感じは、なかなか魅力的ですね。

☆Noriさん、いらっしゃいませ。
　そう、ただいま我が家では秋の甘栗祭大開催中でして
　毎日数粒ずつ、絶え間なく楽しんでおるのです(笑

　モンブラン、見ましたよ。濃い目の色で美味しそうでしたね。
　モンブランって、意外に形だけでさっぱり栗の香りがしないのも　
　あったりして。小布施でも美味しいのがあるらしいですけど。

　しばらく油性ボールペンのベタッとした感じが
　嫌いだったんですけど、最近また戻ってきてます。
　どうも複写式の契約書を書く時などは、水性はすべりが悪くて
　上手く書けないんですよね。
　僕も感じの良い字を書けるようになりたいと思い続けてます。。

☆ROさん、結局喉から、でした。
　鼻からだと楽らしいんですけどね。
　でも昔と違って、後で喉の奥が痛くなったりはしなくて。

　昔から3色ボールペンとかよくありましたよね。
　プラスティック製の安っぽいやつ。
　ゼブラでしたっけ、「シャーボ」が出た時には
　飛びついて使ってみたんですけど、いまいちだったような...

by harry (2010-11-17 23:09)