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花嫁の父として。 [HONDA CT110]


ハンターくんを引き取ってもらう日が近づいてきた。
半年近くもカバーをかけたままだったというのに、いざとなるとなんだかとても切ない気分。
まさに、タイトルどおりの心境。
可愛がってもらうんだぞ、なんて
声に出さずにつぶやきながら、磨いてみる。
普段仔犬号に付けている箱をはめて、ちょっと近所に出かけてみたり。




見た目を綺麗にするのは、それほど大変なことじゃない。
肝心なのは、中身だ。
花嫁の父たるもの、大事な日の数日前から食事にも気を使って
内臓や腸の隅々まで綺麗にしてお渡ししたくなるものなのだ(笑
せっかく貰ってくださる人が、あとでがっかりしないように。

というわけで、まずは古いガソリンを抜く。
保管中は、中が錆びないようにと、ほとんど満タンにしていたのだけれども
意外に、ガソリン自体は傷んでいないようだった。
スタンドの店員さんも「くんくん.....あ、まだ大丈夫でしたね、このガソリン」だって。
でも、新鮮なものにしておいた方が良いのは間違いない。
全部のガソリンを抜いて、入った量は4.5リットル。
完全に水平にしないと、スペックどおりの5リットル以上は入らないようだ。


ヒューエル・コックのカップはあまり汚れていなかったけれども
若干の粉状の鉄片のようなものが沈んでいた。
8年前に買って以来、開けてみたのは初めて。水分は溜まっていなかった。よしよし。


オイルの容量は交換時に1.1リットルとなっているが
実際には1リットルちょうど入れると、ほぼディップスティックの真ん中やや下あたり。
古いオイルはさすがに黒ずんではいたけれども、白濁は無し。
フラッシングオイル代わりに特売の4st用オイル(498円/リットル)を入れて、少し近所を走ってみる。
とととととっ、と軽やかな音をたてて、快調じゃないか。
いい子だったのに....と、少し感傷的になる。
いかんいかん(笑
徐々にエンジンを温めて、少し長い直線で4速まで加速。ブレーキも鳴かずにちゃんと止まる。
駐車場に戻って熱々のオイルを抜き、カストロールのごく普通の鉱物油、"4T 20W-40"に交換。
あとは、表面の細かなところを綺麗にすれば、なんとか無事にお渡しできそうだ。

☆☆☆

今まで乗ってきた乗り物は、ほとんどが知人の手に渡っていった。
最初のHONDA CD50は、大学の後輩に。新車で買って、売値は2万5千円だったかな。
GYRO XとGB250は親戚の叔父に。もちろんただで。
Vespa 100は大学時代の同級生に。5千円くらい貰ったっけ?
Vespa CosaⅡとAprilia Tuareg Wind350は職場の後輩とその友人に。
CosaⅡは台風の日に横倒しになった傷があっただけで機関絶好調、7000km程度だったのを
後輩がいい奴だったので、5000円で。えらく喜ばれた。
Tuareg350はキャブをFCRに換えたばかりだったけれども、その部品代にもならない7万円。
2代目GB250は今の銀馬号の下取りになった。
はっきり言って、全く儲かってはいない。でも、十分楽しんだのだから、それでいいのだ。
乗り物を手に入れるときに、リセール・バリューなんて考えたことがない。


30歳の時にはじめて買ったクルマは、中古のプジョー504ディーゼル。'82年式だった。
買い値は15万くらいだったと思う。ダンパーが抜けきっていた以外は、結構まともだった。
見た目は、ちょっと鉄くずっぽかったんだが。
なんといっても素晴らしかったのが、その椅子の座り心地。
数万円かけてショックユニットを入れ替えると、
西川の無圧布団的な最上級の乗り心地を堪能できた。
丸1年乗って、少しずつオーバーヒート気味になってきたのを機に、
大阪でこの車種を探していた人にお譲りしてしまったのだけれども、いいクルマだったなあ。
今でも元気にしているだろうか。それとも、何処かの溶鉱炉に叩き込まれてしまったかな。



駐車場代の安い場所に住んでいたせいもあって、しばらくクルマ2台の生活を楽しんでいた。
今考えると、信じられない贅沢(苦笑
シュペール・サンクTSは1.4リットルのマニュアルで、48万円で買った。
おそろしくシフトの気持ちよいギアボックスを持っていて、
個人的にはガンディーニの最高傑作ではないかと思うエクステリアも大好きだった。
職場の後輩に安く譲ったら、すぐに何処かで別の車に側面から突っ込まれて、廃車。

サーブ900はノン・ターボの一番地味なグレードだった。
この車のシートも、良かったなあ。遠くに出掛ける楽しみを教えてくれたクルマ。
中古で100万ちょうどで買って、丸3年、4万キロほど走ったら一気にあちこちが壊れ始め、
最後はこちらがお金を出さずに引き取ってもらうのがやっと、という別れ方だった。


サンクを手放したのは、コレを見つけてしまったからだった。
プジョー205GTi、エンジンの軽い1.6リットルの最終モデル。
なんていうことのないSOHCのエンジンだというのに、スロットル・ペダルに載せた足に
ほんの僅かに力を込めようと思って靴が1mm沈んだ瞬間に「クオンッ!」と弾けるエンジンだった。
60万程で手に入れて、半額くらいで熱烈なファンに譲った。

すべての車を手放してしまうと、自分がひどく身軽になった気がした。いい気分だった。
その時に手に入れた久々のバイクが、このハンターくん。

この先、実用車以外にクルマを手に入れることは無いだろうと思う。
もうすぐやってくる新しいバイクと今の2台をあわせて、合計3台のバイク。車庫1台分。十分だ。
何処まで楽しめるか試してみようと思う。

ハンターくん、元気で暮らすんだよ。
....あ、男の子だった(苦笑


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コメント 22

knacke

む、む、婿養子、だったのね・・・。(笑)
「ふつつかなムスメですが、」ではなく、
「大切の育てたよくできたムスコです。
どうぞ大切にしてやってください。」と、お婿に出してネ。
きむたこ、お嫁に行くとき、パパに、
「間違ってもふつつかなムスメですが、って言っちゃダメよ、
よくできたムスメです、って言ってネ。」って、言ったら、
「パパ、嘘は得意じゃないんだ・・・。」と、言いました。(爆)
ワタシのお嫁に行った友人のパパは、
「こんなムスメでよかったら、どーぞどーぞ、
さっさっと持っててください。」って言ったんだって。(大爆)
そしてね、相手のママが、
「大事に大事に育てたムスコです。」って、涙目で言ったんだって。
・・・、ビミョー・・・。
by knacke (2006-09-02 04:37) 

harry

むはは。パパ、素敵(笑
そういえば、さっき相棒に言われて思い出したんだけど
彼女ののお父さん、初対面のワタクシに
「わがままですよ。本当にいいんですか?」って(笑
ま、「照れ」ですね。たぶん....そう思いたい(汗
ワタクシも、涙目にならないように気をつけなきゃ。ね。
突き放すくらいの雰囲気で行くことにします(微笑
by harry (2006-09-02 10:38) 

cozy

花嫁の父か~^^

自分は「非情のライセンス」ですから眉間にしわを寄せて「昭和ブルース」を口ずさみながら相手に渡してます

昨日もTL125を運送屋送りの刑にしたぜ フフフ
by cozy (2006-09-02 12:52) 

なみま

ハンターくん、こんなところまでキレイにしてもらって、気持ち良さそう!
乗り物って、手入れをする度に愛着が深まりますよね、「こんなとこまで知ってるんだぞ」って(笑) hurryさんちの子達は幸せ者ですね。
”西川の無圧布団的な”乗り心地、味わってみたいです…!!
by なみま (2006-09-02 13:52) 

m-kurata

ハンター君も心残りだったでしょうが・・・・・、最後にしっかりとメンテしてもらって嬉しかったと思います。(ここまで手を入れて、手放す人は少ないと思います!!)
やはり、乗り慣れたバイクを手放すときは感傷的になりますよね~・・。色々な出来事が人生には起こってきましたが、それぞれのバイクの小さなことまでは、覚えているものですね。
by m-kurata (2006-09-02 15:14) 

ハンター乗りだったのですね、harryさん!
僕は現役のリトルカブ乗りです。
ムスメは誰にも渡さんぞ~(笑)
by (2006-09-02 20:52) 

mori

最初のクルマが504なんて、ツモが渋すぎます!
最近の欧州車って個性が希薄ですね~。
by mori (2006-09-02 23:05) 

D@NNA

とうとう決まってしまいましたね、、う〜〜〜寂しい!
それにしても2輪、4輪とも数々の武勇伝、さすがですね。

私は心が狭く独占欲が強いせいか、全ての物に関して里子
に出せない性格です。物が溜まる一方なのですが、、、、
根っからケチなんでしょうね、、(苦笑)
by D@NNA (2006-09-02 23:20) 

YASH

結婚する少し前MGとSRXを前に、この後クルマかバイクどっちで行くか
考えてバイクを選んだ私ですが、今とても楽しいです。
クルマは妻の選ぶ小型車で十分だと思ってます。
by YASH (2006-09-02 23:34) 

boo-pee

>プジョー205GTi
良い車ですよね。私も昔本気で買おうと思った事があります。
でもその時はランチャデルタ買っちゃいましたが。

ハンター君はメンテばっちりですが、足出てないですよね?ww
今日は短い時間でしたがお会い出来て嬉しかったです。
でわ、また明日!(笑)
by boo-pee (2006-09-02 23:35) 

kokudoh

手放すのに、ここまでメンテをされるとは。
ハンターカブに対する思いというよりも、
harryさんの人柄の良さだと思われます。
いろんなクルマに乗っておられるのですねー。
by kokudoh (2006-09-03 01:52) 

barbie

harryさんのようないい持ち主に出会って、ハンターくんは幸せ者でしたね。手に入れた直後は頑張って掃除するけど、一旦手に入れて、しかも手放すとなればどうにでもなれ状態が多い私にとっては反省すべき点が多いです(笑)せいぜい外観の掃除ぐらいはしますが、内部まではとても。どうせディーラーに渡すんだからプロに任せようって思ってしまいます(^◇^;)
by barbie (2006-09-03 21:17) 

luka

あ、504か、趣味近いかもー、と思って下を見ると、サーブ900じゃないですか!しかもノンターボで多分私が乗ってたのと同じグレード。 ガンディーニのシュペールサンクも欲しいクルマの一つでした。 味わい深いクルマ達との生活だったとお見受けしますが今は0台ですか。バイク3台生活というのもうらやましですなぁ。
by luka (2006-09-04 01:33) 

harry

☆今頃は大陸上陸中のcozyさん、こんにちは。
 「非情のライセンス」...(笑
 ニヒル(アヒル、ではない)という死語は、まさにcozyさんのためにあった言葉ですね。TL125、欲しい欲しいと思ったまま、結局手に入れられず、です。

☆なみまさん、こんにちは。
 そうそう、あんなところまで...(笑
 隅々の、ちょっと恥ずかしいところまで知っているのです(笑
 ムアツ布団的乗り心地、当時の職場の女性陣には大変な人気でした(微笑

☆m-kurataさん、ご無沙汰しております。
 バイクって、手放しても妙に細かなことを覚えているものですね。
 昔乗っていたバイクの写真がほとんど残っていないのは残念なんですけど、
 掃除をした時に眺めた各部の造りを今でもくっきりと思い出したりします。
 ハンターくん、場所とお金の余裕があったらまた欲しいと思うバイクでした。

☆shinroさん、そうなんですよ。
 うちのハンターくんのリアキャリア、shinroさんのと同じ部品を付けてました。
 ふふ、そう言ってても、「お嬢さんを下さいっ!」って人がそのうちに...
 新しい娘の方がいいかな、なんて思っちゃうものなんですよ(笑
by harry (2006-09-04 11:36) 

harry

☆moriさん、へへ、ちょっと渋すぎましたか。
 504のあのスタイル、昔から好きだったんです。あのクルマ、ついこの間までアルゼンチンでは新車で作っていたんですよ。見た目はただのベンチシート風なのに、実に良く出来たシートでした。
 最近の車で欲しいのは...カングーかな(笑

☆D@NNAさん、こんにちは!
 昨日、無事結納も済ませて(笑)、今日はいよいよお別れの日です。
 僕は結構冷たい性格なのか、十分楽しんだと思うと意外にあっさり誰かに譲ってしまったりして。でも、今回のハンターくんは、ずっと傍に置いておきたい子だったんですけどねぇ。。
 新しい子がもうすぐ来たら、気分も変わることでしょう。もう少しの辛抱です♪

☆YASHさん、私も一回は車を選びかけたんですけど、結局バイクに戻ってきました。この先、バイクから離れることは無さそうな気がします。クルマは確かに小さいもので十分ですね。相棒がそのうちに軽が欲しいって..(笑

☆あ、仲人さん、一昨日&昨日はどうも!
 CoolなSSと、負けないくらいCoolなboo-peeさん、カッコよかったです。
 あ、デルタでしたか。あのボディもいいですねぇ。HF?4WD?
 ハンターくん、お金はそんなにかけてないので、大丈夫です♪
 末永く楽しんでもらえたら嬉しいですね。

☆takさん、こんにちは。
 むむ!人柄を褒めていただくなんて...何年ぶりかな(笑
 ありがとうございます(汗)。でも、「帰り道で止まっちゃったんですけど!」なんて、悲しいお話にはしたくないなあ、なんて思ってしまって。
 クルマは今考えるとお金が大量に失われていきました(苦笑
 まあ、楽しい貴重な経験でしたねぇ。

☆barbieさん、おはよう♪
 ま、いじって壊しちゃったらいけないんですけどね。
 整備していると、いろんなところを見ることが出来て、楽しいものですよ。
 でも、掃除のし甲斐が無いバイクだったら、やる気で無いかも...
 一昨日、ブログ友達のクールなハーレーを間近で眺めて、こういうバイクは整備していても楽しそうだなあって思いましたよ。

☆lukaさん、はじめまして。
 504も900も、創った人間の思い入れたっぷり!という感じのクルマでしたね。900i、多分同じグレードだと思います。
 バイクって、場所をそんなにとらない分、いくらでも欲しくなって歯止めが利かない乗り物です(汗)。御注意くださいね(笑
by harry (2006-09-04 12:03) 

MORIHANA

harryさん、こんにちは。ようやく、泥沼脱出しました。
ただ今、放心ちう。 なんだか、モソッとしてます(苦笑
やるべき用事はいくつかあるのに…。うむむぅ。
車の選び方、らしいなぁ…と妙に納得。
ちなみに家人は、昔のコルベットとか、カマロが好きだそうです…。
by MORIHANA (2006-09-05 15:58) 

カズ−

渋めの車がお好きなようですね。
自分もルノーサンクには暫く乗ったことがありました。
OHVですが、よく回るエンジンですよね。
プジョーは私もこの形が一番好きです。
by カズ− (2006-09-05 22:40) 

カズ−

↑済みません、205の事です。
by カズ− (2006-09-05 22:43) 

boo-pee

デルタくんは、HFの8Vでした。
トラブルは多かったけど、実用的でもあり楽しい車でした。
by boo-pee (2006-09-06 09:48) 

harry

☆あ、MORIHANAさん、祝脱出!(笑
 今日チラッと見たけど(チラでごめん!)、あんまり旨そうだったんで...(笑
 もう一回しっかり見に行きますよ。
 で、もそっとしてるわけね(笑)。こちらはずーっと、そう。
 クルマはね、巨大なおもちゃのように感じていたんだけれども
 ある日突然、その大きさが漠然と負担になってしまったのでした。
 今でも、眺めるのは大好きなんだけどなぁ...昔のカマロ・コーヴェットって
 ずっしりとした彫刻的なカッコよさがありましたね。

☆カズーさん、いらっしゃいませ♪
 サンクのエンジン、軽やかでよかったですね。
 椅子も良かったと思いません?小さめなのにしっかり包み込んでくれて。
 205はどの角度から見ても良かったですねぇ。

☆boo-peeさん、デルタくんってシルエットがシャープでよかったですね。
 クルマは何故かイタリア製に向かわなかったんですけど、僕はデルタの
オリジナルのFFの何にも付いてないやつとか、旧型のパンダが一時期真剣に欲しかったです。どちらもジュージアーロ、実用性と楽しさが上手くバランスしてたように見えました。
 
by harry (2006-09-06 23:19) 

やよ子

こんばんは。
初めてお邪魔します。

ハンターくんを受け継いだYです!
ただいま○ッドバロンで検査をうけていると思います(笑)
大事にしつつがんがん乗っていきたいと思ってます!!

harryさんも昔のパンダ好きでしたかー。
私欲しいんですよねぇ。。。
ジウジアーロの車ってみんなヨイですね。
ピアッツァとかも欲しいです。
by やよ子 (2006-09-09 19:42) 

harry

あ、やよ子さん、こんばんは。
ハンターくん、どうぞ使い込んでやって下さいね。タフないい子ですから。

昔のパンダ、形も内装も大好きです。
シンプルなんだけど、あれは一つの思想がクルマという形になってる、という感じのクルマでしたね。ピアッツァ、オリジナルのショーモデルは、生産モデルよりもさらにカッコいいんですよ。
欲しいと思い続けてると、いずれ手に入ったりするものです。楽しみに待ちましょう♪これからもよろしく!
by harry (2006-09-11 23:05) 

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