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自分の好みに合わせていく。 [BMW R nineT]

Natsuzora scheme.jpg
0723霧ヶ峰にて。.jpg
我が家に新しくやってきたR nineT(ナインティ=BMWオートバイ部門の90周年記念モデルなのです)。
取りあえず家の周りをほんの少し走ってみたあと、
その次の休みに妻を後ろに乗せて、さらりとビーナスラインまで出掛けてみた。

シートは薄く見えるけれども意外に乗り心地は犠牲になっておらず
タンデム・ステップが比較的自然な低い位置にあることもあって、同乗者にも好評だった。
平日の霧ヶ峰は晴天でも爽やかな風に満ちていた。ニッコウキスゲもちらほらと咲いていて
鹿に食べられて一気に少なくなったと言われた数年前よりは増えているように見えた。

ただ、快適な半日の散歩を楽しんだ後にやはり気になったのは
ハンドルの絞り角が少ないために手首が少し疲れることと、
ハンドル幅自体もかなり広いために、どうも違和感が抜けないことだった。


Lo-rider&nineT.jpg
nineTのデザイン・モチーフになったのは、2008年の暮れに発表されたコンセプトモデル、
”Lo-Rider Concept”(写真上)なのだろうと思う。
BMW独特のフロント・サスペンションを敢えて捨てて、
手に入れた人が外装などを好みで換えて楽しめるというショー・モデルだった。
2009年の春に、当時日本でのBMWオートバイ部門のトップだったライナートさんに
このLo-Rider Conceptはとても魅力的だと思うけれども販売する予定はないのかと訊ねると、
「あのコンセプトは、トップブリッジとかフレーム接合部などのあらゆるディティールが
 凝った仕上げでないと成り立たないので、なかなかコストが折り合わないんだ」と、
商品化は難しそうな答えだったことを覚えている。

見比べるとわかるようにLo-Rider Conceptはクルーザー的にフォークが寝たポジションで
ハンドル幅がやや広めでフラットなのも似合っていた。
その点、nineTはごく普通のスポーツ・マシン的にフォークが起きているけれども
ハンドル自体は同じようにフラットで幅広なものが付いている。
その点がどうもちぐはぐな感じがしてしまう。

幅広過ぎ.jpg
こちらはBMW Motorradの広報写真。
こんな風に幅広のハンドルに対してやや肘を張りだすようにしないと
手首の角度が不自然になってしまって、個人的にはどうも気分が良くないのだ。


StreetFighters.png
このハンドルの設定は、今の欧州のロード・スポーツ・マシンの主流になっている
「ストリート・ファイター」的な乗り方を想定しているのだろうと思う。
意識して上半身を前傾させて、手首だけを曲げるのではなく肘を張りだして
グリップを外側から握るような感じだ。
確かにこういう乗り方ならば、このハンドルも悪くは無い。
でも、一日中こんなファイティング・ポーズ(笑)を取りながら走るつもりは、ワタクシは無い。

かといって、ノーマルのR1200Rのようなアップ気味で安楽なポジションも
ちょっと緊張感が希薄でnineTには似合わないような気がする。
そういう訳で、ワタクシが試してみることにしたのは
取付部各部の寸法が共通なBMW F800Rの純正ハンドル。

0730ハンドル交換後.jpg
上がnineTの標準状態、下はF800Rのハンドルに交換した状態。
F800Rはしっかり重たいバーエンド・ウェイトの一部がグリップの内側に入り込んだ状態で
固定されるタイプなので、そのウェイトを装着したうえで
nineT用の装飾的なアルミ色のバーエンド・プレートを外側から被せて固定してみた。
グリップ両端の幅で比べると790mm⇒725mmと約7.5cm狭くなった。

狭くなっただけでなく、手前に向けて絞り角も大きくなったおかげで
手首の角度は格段に自然に。
ただし、ハンドル・ポストからの立ち上り部分は随分低くなったので
ポジションとしては相当コンパクトで、ハンドルがやや遠く感じられる。
そこで、ドイツのWunderlich社から発売されているハンドル・アップ用のスぺーサーを
あわせて装着してみることにした。


0807ハンドル比較2.jpg
上がノーマル(広報写真)、下がF800R用ハンドル+Wunderlich製スぺーサー装着後。
ちなみに、ミラーもノーマルには他の現行車種と共通のものが付いているけれども
ワタクシはこの形があまりnineTには似合わないような気がしたので
R100シリーズの頃の丸い物に換えてある。

ノーマルと見比べるとかなり低く構えたポジションに見えるけれども
前傾がさほどきつくなったという印象は無く、
かえって腕を伸ばして手を置く角度が自然になったおかげで
自分にとってはこのポジションの方がリラックスできる。


0807ハンドルポスト詳細.JPG
スぺーサーはこんな形でなかなか上手くデザインされており
ハンドル・クランプそのものとトップ・ブリッジの間に挟まるようになっている。


0807メーターステー周辺.jpg
というものの、何の問題もなくスムーズに交換できたわけではなかった。
ノーマルでもクラッチの油圧ホースが軽くメーター・パネルに当たっているほどの狭いクリアランスで
F800Rのハンドルに換装してみると、そのホースがかなりメーターを強く押してしまうので
しばらく考えてからメーター・パネルを支えるホルダーの位置を変更したのだった。

写真は、メータパネル側からトップ・ブリッジを眺めたところ。①が先ほどのスぺーサー。
②の部分のメーター・ステーの固定ボルト位置(下からトップ・ブリッジに向けて4本のボルトで
固定されている)の穴を開け直して、メーターパネル自体を5mm程度前方にずらした位置で
固定できるようにした。
穴を開け直しただけでは元の穴の縁が見えてしまうので、アルミのカラーで隙間を塞ぎ
トップブリッジとの接触面に薄い硬質ゴムの径の大きなワッシャーと共に挟んで
見た目を整えつつ、メーター本体が若干下に傾いた角度で固定してある。


0807押してない。.JPG
微妙な調節をして、ホースやワイヤー類との干渉は何とかぎりぎりで避けることができた。
ハンドルをフル・ロックしても、不自然な引っ張りなどは無し。


0812ワンポイント.jpg
ついでに、大きめの穴が開いたままなのが妙に気になるハンドル・ステムにも
穴を塞ぐようにBMWの小さめのエンブレムを。



0807ハンドル比較.jpg
ノーマルよりやや高い位置に置かれて、短い幅で低く構えた角度に収まったF800R用のハンドル。
試運転で空港の外周路を軽く流してみると、期待した通りの自然な操舵感で
ノーマルに比べて、かなりスポーティに感じられるようになった。
元々ツーリングに使ったり旅の相棒としてこのマシンを選んだ訳ではないので
このコンパクトさとハンドリングの自然さの方がワタクシにとっては大事なのだ。



0807空港にて.JPG
マシンを降りて、少し離れてあらためて眺めてみると
1200ccの2気筒とは思えない小振りなボリュームがこのマシンの大きな魅力だと思った。
燃料タンクはアルミ製で軽く、クラッチを繋いだ瞬間に感じる身軽さとダイレクト感は
我が家の他のマシン達とは大きく違う個性だ。


0807黒いものが好き。.jpg
この日の持ち物は、偶然なのだろうけれども同じような質感の物が揃った。
黒い鞣革のカード・ケースはもう20年近く使っている無印良品の物。
20代の頃に財布というものを持ち歩かなくなってから(現金はズボンのポケットに直接入れている)、
このカードケースが貴重品のほぼすべてになってしまっている。
身軽でいいのだ。

さて、ポジションはようやく自分好みになってきた。
この先は、少しずつ外装もいじってみようかな...


RninetBlackout.jpg
まず手を付けたいのは、車体各部に点在して自己主張し過ぎているように感じる
アルミ色の装飾的な部品の色合いを変えてしまうこと。
シート下のフレームに被せてあるガゼット風のパーツと
フロント・フェンダーの武骨なステーは、アルマイトで色のトーンを落としてしまいたい。
フロント・フォークのアウター・チューブも、あまりにやる気満々なオレンジ色が目立つので
ほんのりチタン色程度に変えたいけれども、これはまた後日にでも。
もしフォークをいじる時には、フロント・フォークの突出しも少し押し戻してみたら
時にクイック過ぎるように感じるハンドリングがほんの少し落ち着くかもしれない。

アルミ製タンクのニー・グリップ部のパネルは、アルミのヘアーラインの上からクリア塗装
という仕上げなのだけれども、さらにその上から濃い色のクリア―を重ねて、
シリンダー・ヘッド・カバーと同じくらいのトーンに色合いを調整したい。

地味すぎるって?
はい、乗り手に合わせて地味に行くのです。



0807空港にて。.jpg
一日中走っても疲れないような身体に優しいマシンが大好きだというのに
新しい子は「ストレス解消マシン」的な緊張感や凝縮感もあって、なかなか素敵。
半ば冗談で「2時間スペシャルです」などと言ってはみたものの
その2時間の楽しさは、これまであまり体験したことの無い濃い密度のようにも感じられて
他のマシンとは良い意味で住み分け(棲み分け?乗り分け?)ができそうな気分なのだった。
めでたしめでたし。

コメント(17)  トラックバック(0) 
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コメント 17

RO

コンセプマシンがいいヽ( ゚∀゚)ノ
harryさんは真逆?
by RO (2014-08-13 03:42) 

barbie

『他のマシンとの住み分けができる…』ですか(笑)
barbie号は何時間乗っていても疲れないバイクだけど、2時間スペシャルもいいなぁʕ•̫͡•ʔ♬✧
by barbie (2014-08-13 08:20) 

たくや

渋く仕上げますね~

by たくや (2014-08-13 10:55) 

ナツパパ

見る角度によって印象の違うマシン、と思いました。
真横から見た画像はずいぶんマッシブな印象があります。
後ろから見ると、すっきりして軽やかなイメージが感じられるし。
休日のひとときを愉しむマシン、良いですね。
そのための出費だったら、わたしも過酷な労働は受容できるなあ。
by ナツパパ (2014-08-13 22:22) 

knacke

お家にバイクに、こだわりのつまった生活ですね☆イイナァ〜!
by knacke (2014-08-14 09:02) 

YASH

低めで垂れ角さえ感じるこのハンドルバーはかなり独特かも… と、
F800Rを試乗したときに思ったんですが、それをうまく活かしましたね。
TDMもノーマルよりやや低く、巾を狭くしてあって、
いちおう答えが出ていたはずなんですが、
少し前からもう気持ち巾を広げてもいい様にも感じています。

乗り込んでみると感じ方が変わったりもするし、
そういう事に少しずつマシンを自分に合わせていくのも、
オートバイの楽しみの一つですね。
回答は一つじゃないのが、また面白いのです。

by YASH (2014-08-14 15:03) 

harry

☆ROさん、おばんです。
 Lo-Rider、カッコ良いんですけど、こういう楽ちんなポジションなら
 もう一台我が家に居るR100Rでも十分楽しいし...ということで。
 自分は地味路線まっしぐらであります(笑

☆barbieさん、バイクが2台あると人生も2倍に...(笑
 2時間スペシャルのスリルとサスペンスもなかなか楽しいですよ。
 騙されたと思って、是非。

☆たくやさん、このままいっそ真っ当なリア・フェンダーも
 付けちゃおうかと思っております(笑

by harry (2014-08-14 21:48) 

harry

☆ナツパパさん、確かにそうなんです。タンク周りにはそれなりの
 ボリュームもあるのに、後ろ半分は本当にほっそりしていて。
 余分なものがほとんど付いていないという潔さが
 このマシン独特の雰囲気を醸し出していると思います。
 一瞬を楽しむ、なんていうことに出費を許してくれた妻に感謝!
 と、しみじみ思っておりますよ。

☆knackeさん、いやいや、単に好きなことしか頑張れないという...
 本当にそうなの。困ったものであります。

by harry (2014-08-14 21:54) 

harry

☆YASHさん、自分もF800Rに乗った時には「ここまで垂れてなくても...」
 と思ったんですが、あの車体にはかなり上手く合っているんですよね。
 短くしようと思って最初に思い浮かんだのはR1200R用だったんですが
 このマシンには楽なポジションが妙に似合わない気もして。
 結果はかなり気に入りました。

 TDMも成り立ちからして少し幅広でも合いそうですよね。
 確かに乗り続けているうちに好みも変わってきますね。自分の
 Mysticもつい最近ほんの数ミリ、バーの位置を高くしてみたんですが
 ずっと「低めで近い」のが好きだと思い込んでいたのに、
 いざ高くしてみると、これはこれで入力し易くて良いな、なんて。
 答えは無限にある、というのは本当に楽しいものです。
by harry (2014-08-14 22:05) 

HIRO

こんにちは。
個人的なBMWの印象は、コンチハンかクリップオンで…(笑)

ウチのモン吉も、北の方からやって来た時は、アメリカンぽいハンドルが着いてて、同じ位の体格のチーフメカニック兼テストライダーのS君が好みのセッテイングにしてくれました(爆)
これから楽しみですね。
by HIRO (2014-08-14 22:27) 

harry

☆HIROさん、こんばんは。
 自分もR75/5からR100の頃の、ごくシンプルなコンチハンが
 BMWらしいなぁと思ったりします。
 結果的に今回いじってみたらそれに近いポジションになっちゃいました。
 軽い前傾の割に、ステップ位置はごく大人しい場所にあるんです。

 今年出たS1000Rにしても、北米からの要求がとても強かったと
 聞きました。トップガンでトム・クルーズが駆ってたNinjaみたいに
 スポーツ系の車体に思い切りアップしたハンドルが好きみたい(笑
by harry (2014-08-15 22:00) 

ところで、

早速楽しそうなことしてますねぇ。
僕もあれやこれやしたいとは思うのですが、
暴力的な東京の暑さと、無慈悲な仕事のスケジュールに
バイク弄りがなんだか億劫になって、考えてるだけでなんにも進みません。。
by ところで、 (2014-08-21 22:08) 

harry

はい、こういうのは楽しいですねぇ。ほんとに。
取りあえず雨風をしのげる場所ができたおかげで
仕事が終わって夕食後の涼しい時間に少しずついじってみました。
ところで、さんもStreet Tripleを手に入れてすぐに塗装の質感を
揃えてみたり工夫されてましたよね。とても楽しそうでした。
自分もこの後は少し外観をいじってみようかな、と。

今月の初めに都内に出掛けてみましたけど、あの暑さは反則ですね。
日本の夏がもう少しだけ穏やかだったら、驚くべき生産性の向上が...
なんて思っちゃいました。体調にはお気を付けて♪
by harry (2014-08-21 23:50) 

FTドルフィン

お久しぶりです
ご心配をおかけしまして
お心遣いありがとうございます。。。

新しいご家族
気さくにつき合えそうで
いい感じですね!

もし住んでる所が東京じゃなかったら
まだ、単車に乗ってたかも・・・
フル装備じゃなく、こんな“R”が
お似合いかも。

シートがしっかり幅広で
“BMW!!”って感じでいいですね!
あのシートに座っちゃうと
他のシートには戻れない。。。w

by FTドルフィン (2014-08-25 18:35) 

harry

☆FTさん、こんばんは。
 復活されたようで、なにより♪です。
 早く秋にならないかな...とずっと思ってますけど、今年は夏の
 終わりがいつもよりも早いような気がしますね。いいことです!

 自分はアップライトで穏やかなマシンが好みだと思っていたんですが
 こういう軽くて軽快なマシンも、なかなか楽しいものですね。
 乗る度に、なんとなくスーパー7を思い起こすんですが
 純粋に走ることだけを楽しむ乗り物っていうのも良いものです。
 そうそう、このシート、厚みがなくて薄そうに見えるんですけど
 流石にちゃんとできてます。かなり気に入ってます♪
by harry (2014-08-27 00:15) 

クーチュンケイ

非常に良い感じに仕上げたナインTであり見ていて楽しいブログです。ありがとうございます。一つお質問させてもらってもよろしいですか。ハンドルをF800Rの純正ものに取り替えたことですが、ナインTのスイッチボックスやグリップをそのままつけられたのでしょうか?穴あけなどの加工は必要でしょうか?
by クーチュンケイ (2018-12-23 18:42) 

harry

☆クーチュンケイさん、はじめまして。
 コメントをありがとうございます。
 この時に付けたハンドルは2014年頃までのハンドル幅が狭かった
 時代のF800Rの純正ハンドルで、スイッチ類装着のための穴は
 そのままでnineTの部品が固定できます。
 ただ、バーエンドの構造が全く違うので、nineTのバーエンドを
 つけようとするとちょっと工夫が必要でした。
 自分はその後、空冷R1200R後期型(DOHC)のものに換えて
 しまいましたが、ハンドルはなかなかぴったりのものを探すのが
 難しいですね。

by harry (2018-12-26 00:12) 

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