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慰安旅行、能登まで。 [BMW R100R Mystic]

Nihon-kai scheme.jpg
1105集合2。.JPG
ここ何年か、秋に1泊で出掛けている仲間との慰安旅行。今年は能登に向かうことにしていた。
自分は20代の初めに250ccのホンダ・クラブマンで一度出掛けたことがあるきりで
そこがどんな場所だったかの記憶もほとんどない。
久しぶりに海をゆっくりと眺められたら、それだけでも良いような気持ちで家を出た。

前日から塩尻まで出て来てくれているラスカルさんと朝7時過ぎに合流して
上高地線から高山を目指し、途中の平湯辺りで予想以上の寒さに小休止したりしながら
約束の10時にはYASHさんとの集合場所の飛騨河合P.A.に到着。
前日までのぐずついた空からは想像できないほどの快晴。暖かくなりそうだ。


1105せっかく海なんだし。.JPG
東海北陸自動車道を快適に北に向かうと緩やかに標高が下がっていき、
そのまま高岡砺波道路へ乗り継いで高岡で一般道へ。
半島の付け根付近を北西の方向へ斜めに横切る県道29号線で羽咋(はくい)の海岸線に出て
しばらく進んだところで目に着いた回転寿司の店で昼食。
こういう場所まで来て、さすがに蕎麦という訳にはいかない。


1105ふてくされワンちゃん。.JPG

1105回る寿司。.JPG
イカ三種、貝三種なんていう魅力的なものがあって、どれもなかなか旨かった。
最後は「ふくらぎ」。
初めて目にする名前の魚だったのでYASHさんと分け合ってみたのだけれども
北陸ではブリの幼年期のものをこう呼ぶらしい。
しっかりとした噛み応えがあって、これも旨かった。


1105海辺にて。.JPG
そして、海辺へ。
柴垣海岸、という浜辺。なんでもYASHさんのお母さんの旧姓が柴垣さんだそうで
「別になんの関係もないんだけど、どんな所かと思って...」ということだそう。
静かな海辺を楽しむためには、理由なんて何でもいいのだ(笑)。


1105海辺にて2。.JPG

1105海辺にて3。.JPG
暖かくなってきて、昼寝をしたら本当に気持ちの良さそうな空気だった。

1105海辺にて4。.JPG
オリバー君に久々に大型のパニアを付けて、タンクバッグの上には能登の地図も。
とは言っても、A5位の小振りな大きさに能登半島が丸ごと書かれているくらいの地図だったから
なんとなくこの辺まで来ているんだな、と感覚的に自分のいる場所を把握する程度の役割。
ナビにはいまだに興味がないので、そんなもので十分なのだ。
先導してくれているのはYASHさん。
自分はあまり何処に向かって何がこの先にあるのかはよく解らないまま、
ただただ目の前の景色を楽しんでいる。


1105海まで来た。.JPG
海岸線に沿って進み、途中でしばらくは内陸の山道を抜けたりもして、
再び海岸線に出る頃には陽もずいぶん傾いてきた。
いつものように、未知の惑星を探索に来た宇宙飛行士風のYASHさん。


1105風除け。.JPG

1105風除け2。.JPG
この辺り、西保海岸はこの「間垣」と呼ばれる竹で出来た風除けで知られているらしい。
家の入口が門構えのように切り取られた背の高い垣根が連なった風景は、かなり独特。
潮風に打たれるのを前提に造られているのか、多くの家が同じような板張りで
集落全体が同じような色調に染まっている。なかなか素敵。

集落を眺めて周るのもよし、海沿いをのんびり走るのもよし、
YASHさんの提案で宿に向かう方向の輪島市街で待ち合わせることにして
そこまでは「好き勝手に自分のペースで向かおう」ということに。
この自由さ、というか良い加減さが最高だ。


1105海岸線を行く。.JPG
ワタクシは、淡々と海外沿いの道を進んで、輪島の市街地までそのまま進むことにした。
集合までに余裕があれば、ガソリンを補給してしまってもいい。

一人で走ると、思い立った場所でいきなり停まることもできる。
気に行った景色があれば、思い切り速度も落として
しみじみと海と、その景色の中に一体になって移動していることの楽しさを噛みめていた。



1105海岸線を行く2。.JPG
集合場所では、もう空がいい色に染まり始めていた。
宿は、もう近く。


1105夕暮れ。.JPG

1105夕暮れの窓岩。.JPG
再び3台で走り始めて、刻々と空の色が無彩色に覆われていく中、今晩の宿へ。
一旦は宿の前にオートバイを停めたものの、着く直前の浜辺の夕焼けがあまりに綺麗だったので
引き返して写真を撮っておくことにした。

宿のほぼ正面の浜辺には、海風や波で浸食されてできた「窓岩」が。
その名前そのままの宿が、今晩の寝床なのだ。
西の空の低い位置に、三日月。


1106宿にて。.JPG
見た目は正直なところこの場所にふさわしいとは思えない
ぱっとしない洋風のペンションなのだけれども、
おかみさんの応対の気持ち良さと、食事の旨さ、バランスの良さは素晴らしかった。
いつものように、オートバイ以外にもカメラや普段の生活のことなどとりとめのない話をして、
比較的早めに眠りに着いた。


1106早朝散歩。.JPG
翌朝。
6時半過ぎに健康的に目が覚めたので、宿の玄関にあった鼻緒のついた草履をつっかけにして
一人海岸に出てみた。


1106早朝散歩2。.JPG

1106早朝散歩3。.JPG

1106朝の窓岩。.JPG
空は晴れているけれども、宿のすぐ裏手の山並みから陽が昇って来るまではまだ時間がありそう。
窓岩の奥、西の方向の岸部に陽が当たり始めて輝いていた。


1106早朝散歩4。.JPG

1106何処行くの。.JPG
海辺で、いろいろなことを思い出す。
高校生の頃に、学校をさぼって原付で江の島まで出掛けたこととか。
自分が来年50代に突入することが、なんだか信じられないような気分になる。


1106落ち着く風景。.JPG
朝食をとった部屋からの眺めは、こんな感じ。


1106窓岩詳細。.JPG
出発する頃には、窓岩にも陽が当たり始めた。
今日もいい一日になりそう。


1106配慮がありがたい。.JPG
美味しい朝食で満たされた気分になって、荷物をまとめて再び走り始める。
3台のマシンは、こんな納屋にしまってもらった。ありがたい。


1106老後の暮らしには良いらしい。.JPG
昨日のうちに能登の海岸線は十分に堪能したので
自分は能登島を周りたいとリクエストした。
半島を横切って南側の宇出津(うしつ)の町に出て、そこからは海沿いの道を進んで能登島へ。

能登島は、さぞ長閑なのだろうと勝手に想像していたけれども
道路はきちんと整備されているし、休憩した公園からはこんな秘密基地風の建物も。
後で聞くと「老後の暮らしは能登で」という需要が結構あるらしい。


1106整備不良。.JPG
海岸線を走りながら、所々で「伊豆の西側にも似ているな」などと思ったりもしたのだけれども
ちょっと違うのは土産物屋とか干物の直売所、といった相模湾~駿河湾でおなじみの風景に
ほとんど出会わないということだった。
人々はしっかり暮らしているようなのだけれども、不特定多数の観光客の方を向いてはいない
ということなのかもしれない。
風景は何処も静かな印象で、それでいてこの二日間はぽかぽかと暖かい晴天で
なんだかとても平和で幸せな気分なのだった。


1106美しい橋。.JPG

1106市場でお買いもの。.JPG

1106海鮮丼。.JPG
造形的にも美しい「屏風橋」を渡って七尾の町に出て、
七尾港に面した「能登食祭市場」で食事と少しお買いもの。


ひっぱり餅と棹焼き.JPG
ちなみに、市場で買ったのは右の棒状の蒲鉾。「棹やき」という名前の通り40cm以上もの長さ。
硬めにしっかりと作られていて、売り子さん曰く「いい出汁が出るのでお鍋に入れても美味しいの」
とのこと。原材料がシンプルなのも良かった。

能登島の道の駅では、地元産のお菓子を少しずつ買ってみた。
能登芋というサツマイモが名産だそうで、昔懐かしい「ニッキポテト」の巨大版のようなものが
何種類かあった。
写真は撮っていないけれども、中でもずっしりとした箱詰めの「加能 芋助」というものは
ほんとうに焼き芋そのものを食べているようなほくほくとした感触で、大変美味しかった。

能登はとても素敵なところだった。
次回はまた違ったルートで来てみたい。数年先にね。


1106ここでお別れ。.JPG
まだ陽が高く暖かいうちに帰路につくことにした。
南へ淡々と下って初日に通った高岡砺波道路まで進み、飛騨白川P.A.で最後の休憩。
旅程の大半を先導してくれたYASHさんはそのまま南へ、
ラスカルさんと自分は高山を抜けて木曽福島まで下ることにする。

昼間は快適なワインディングが楽しめる開田高原も、
暗くなると先の見えないタイトコーナーの連続だ。
それでも、きっと行きと同じ平湯経由では寒さに耐えきれなかったかもしれない。

権兵衛峠を通って伊那から中央道に乗るラスカルさんと国道19号線でお別れして
淡々とトラックと距離を置きながら我が家へ。

今回の収穫は、どういう訳か家に戻ってもさほど疲れたという気分がしなかったこと。
二日間往復で750kmほどの旅だったけれども、何か気持ちがすっきりとしたような爽快感が残った。
海のもつ力、だったのかもしれない。

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コメント 11

knacke

いつもしっとりした、バイクでオトナサマタビですね☆
風景もお食事も、とってもいいなぁ。
もくもくした船の風景もステキですね。
リフレッシュできましたか?
なんだか、ぜんぶリセットできそうな感じがします。
by knacke (2013-11-13 20:41) 

harry

☆knackeさん、お宿での夕食がまた素晴らしく旨かったのです。
 蟹が1杯、お刺身ピカピカ、ご飯無くても満腹!っていう具合で。
 海辺はやっぱりいいですね。久しくちゃんと海を見ていなかったので
 水面のきらきらしている様子を眺めながら走るのが
 なんとも楽しくて気持ち良かったのであります。
 辛かったこと、気になっていたこと、いろいろ忘れちゃいました。
by harry (2013-11-14 00:15) 

YASH

今回の文章は、あの日の海岸線のような暖かさが感じられるなあ。
言うなればwarm landscape(笑)

能登は以前カワサキの1200に乗っていた頃、友人3人と行くつもりで
宿も予約してあったのに、都合で行けなかった場所なのでした。
だからという訳では全然ないけれど、今回このメンバーで
訪れることができてとても良かったと思っています。

次に行くことがあるなら最短距離で宿に直行して、
あとはそれぞれ自由行動とか、そんなのもいいですね。
少し土地勘ができたので、忘れないうちにまた行きましょう♪


by YASH (2013-11-14 21:52) 

うえいぱうわ

いいなあ、こういう雰囲気の旅。
そういえば、最近、ゆっくりと海を眺めた事がないし、
たまには海を見に行ってみるのも悪くないですね。

それにしても、場所柄か魚が美味しそう(笑)
by うえいぱうわ (2013-11-14 23:27) 

FTドルフィン

能登はいいですよね
道がきれいですよね

「間垣」と板張りの集落は
僕もスゴく惹かれました

また、来よう!
って思ってから
何年も経ってしまったなぁ・・・

by FTドルフィン (2013-11-15 17:35) 

harry

☆YASHさんにそう感じてもらえたとしたら、多分今回の旅が
 本当に心安らぐ旅だったから、なのです。
 海ってほんとに良いよね。今回、しみじみ思ったのでした。

 一緒に出掛けつつ、適当に自由行動っていうのもいいですね。
 次回、じゃなくてもいいんだけど、一度何処か「特別何もない」
 っていう田舎でのんびりしたいな、と思っております。

☆うえいぱうわさん、能登の魚はさすがに旨かったですよ。
 といっても、飾らない庶民的な食事が美味しい、っていうのが
 良かったと思いました。回転寿司も美味しいし。

 海は、目的を持たずにぼぉーっとするのが一番だと思います。

☆FTドルフィンさん、能登の道の走り易さは想像以上でしたね。
 それにしても能登島の整備の行き届いていることと
 島に渡る橋のカッコ良さには惚れ惚れしました(笑

 西側~北側の海岸沿いの集落は、本当に独特の表情があって
 ちょっと日本ではないような不思議な感じがしました。
 一人で意味なくたそがれて過ごしたくなるような(笑
 クルマで相棒と出掛けてみようかな、なんて思ったりもして。
 また来よう!って自分も思っています。
by harry (2013-11-15 22:43) 

辰

またまた、良い旅をして来られて、
気分もリフレッシュされたようですね、
能登半島は、まだ走った事が無いので
大変参考になりました。
しかし、ほんと、時の経つのは早いですね~
もう、年の瀬だし、もうすぐ、私も大台(汗)
まだ眺めていない風景も沢山あるので、
毎日忙しいけどじっくり走って行きたいですね、、
by (2013-11-16 05:54) 

ナツパパ

素敵な旅行です。
気心の知れた同士の旅は、愉しさが倍増しますね。
海に沈む夕陽の色合いが、わたしの住むところとは違って見え、
それもまた、旅の味わいなのだろうなあ、と思いました。
by ナツパパ (2013-11-16 15:42) 

harry

☆辰さん、おかげさまで天気も良くて、楽しい旅でした。
 能登半島は海岸線をのんびり回っていると意外に時間が掛るので
 余裕を持って予定を組んでおくと楽しめると思います。
 食べ物も美味しいし、いいところですよ。

 それにしても、1年がどんどん短くなってますね(笑
 ついこの間まで夏だった...ような気がしてるんですが。

☆ナツパパさん、こんばんは。
 ここ何年か、泊りで出掛けるメンバーは一緒なので
 妙に気を使うこともなく、本当にのんびりと旅を楽しんでいます。
 そう言われてみると、能登の北側の海岸線で見た夕焼けは
 随分と長い時間、いい色に染まっていたような気がします。
 水平線がオレンジ色に染まっていく様子はなかなか素敵でした。
 海を眺めていると幾らでも時間を忘れて過ごせそうに思えて
 久々に「無心」の時間を味わった気がします。
by harry (2013-11-16 23:07) 

rascal

こちらも走った距離にしては疲れなかった感じですね。
まあ、健康ランドで十分に寝ておいたのが利いたかもしれませんが。

高校生の時は原付免許どころか・・・
学校をサボったなんて思い出も無いなぁ。
偏差値の低い工業高校だったけど推薦入学で入った手前、真面目にしてましたよ(笑)
箱根や湘南は18になって車に乗るようになってからはよく行ったなぁ。
でもやっぱり夏の海より秋から冬の海の方が好きだな。


実は明日から伊勢とか熊野古道方面へ行くんだけど・・・
もし、良い場所だったら来年は熊野とかどうかな?(笑)
by rascal (2013-11-18 23:36) 

harry

☆一番遠くから来てくれてたラスカルさんがそんなに疲れなかったのなら
 ちょっとほっとしました。睡眠は大事だよね。
 高校生の頃は生意気だったから(笑
 自分も、さぼって江の島行ったのは秋だったような気がする。
 人気のない砂浜っていうのが、とても好き。

 熊野というと紀伊ですね。自分はあの方角もあまり縁がなくて
 せいぜい三重の松阪までしか行ったことが無いんです。
 ちょっと興味が出てきたので、きちんと報告してください(笑
by harry (2013-11-20 00:31) 

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