2008年製のハイテク、再び。 [惹かれる品々]
▲NW-E003 SONYの広報写真から
ここ最近、ベッドに入って目を閉じてから、少し音楽を聴いていた。
3年前の記事に書いた2008年製のWalkman NW-A916というモデルは
クルマのダッシュボードに設置してほぼ毎日使っているので
部屋で聴くのに使っていたのはさらに昔(2006年製)のUSBメモリのような形の小型のモデルだった。
隣ですやすやと寝ている人もいるので、カナル型のイアフォンを使う。
イアフォンが変われば、音の響きも変わってまた楽しい。
Ultimate EarsのUE200というイアフォンは比較的癖の少ない澄んだ音が魅力的で
何時間か聴いているうちに最初はすかすかに感じた低音も十分心地よく響くようになってきて
毎晩数曲ずつ古い曲を聴くのが楽しみだった。
明りを消して、控えめな音量でも空気を震わせるような細かな楽器の音に耳を澄ませているうちに
曲と曲の間のノイズが気になるようになってきた。無音の筈の数秒間、サーという音がする。
昔懐かしいカセット・テープのヒス・ノイズを思い出してしまう。
気になり始めると、どうにも気になって音楽そのものにものめり込めなくなってくる。
古い小型のWalkmanのせいかもしれない。
▲2010の冬に購入したNW-A916
試しにクルマに繋ぎ放しのNW-A916を外して部屋に持ち込み、同じイアフォンで聴いてみる。
うむ、無音部はきちんと無音で、音楽は拡がりが豊かで歯切れも良い。
デジタル・オーディオと言っても、機器の性能の差はこれほどまでも大きいのかと
少し意外に感じるほどだった。
流石に2008年当時、機能的には頂点だったモデルだっただけのことはある。
試しにもう少し良い音のする筈のイアフォンを繋ぐと、しっかりとそれ相応の素敵な音がする。
ちなみに、NW-A916は発売当時こそ2万円台半ばで売られていた記憶があるけれども
発売から2年経った2010年の冬に売れ残りを1万円少々で手に入れたのだった。
同じ程度の予算で今現役のWalkmanを手に入れようと、大手量販店に休みの日に出掛けてみた。
▲SONYのHPから
小振りだけれども必要最小限なE060シリーズで7,000円程度、
一回り大きいS770シリーズにはBluetooth機能も備わっていて、1万円台前半。
妻は、せっかく買うのだったらBluetoothが使える方が将来的に便利なんじゃない?と言ってくれる。
1万円台前半の安いものはメモリの容量が4GBだけれども、経験上はそれでも十分な筈だった。
売り場で専用のシリコンケースが980円で売っているのを確認して、
家に帰ってから一応ネットの情報も見て決めるつもりでいた。
休日のドライブ、少し離れたスーパーマーケットにも寄ってみる。
その隣に、中古品のデジタル・カメラを買ったこともある「HARD-OFF」があった。
▲NW-A916/A829 SONYの広報写真から
と、そこのショーケースの中に新品同様に綺麗な旧型機種がひっそりと置かれていた。
NW-A829という、持っているNW-A916とほぼ同時期のBluetooth搭載モデルだ。
店員さんに実物を触らせてもらうと、本当に売れ残りの新品ではないかと思うほど綺麗な状態で
小さな傷もなく、箱も綺麗で、取説と付属品は手を触れた形跡もほとんどなかった。
きっと何処かに理由があって埋もれていたのではないだろうか。
A829という品番はメモリの容量も16GBと一番大きくて、当時は3万円近くで売られていた筈だ。
目の前の商品に付けられている値札は7,350円。買わない理由は、無い。
同時期のモデルだけあって持っているA916によく似た形なのだけれども
こちらの方がやや薄くて重量も軽い。画面の大きさは同じ。
ちょうど今時のスマートフォンをそのまま二回りくらい小さくしたような形だ。
充電池の持ち時間は最新モデルよりも逆に少し長いくらい。
こうしてみると、デジタル・カメラなどと同じように
携帯用音楽プレーヤーも「最新=より性能が良い」という図式が
すんなりとは成り立たなくなってきたように思う。
少なくとも、5年前の高性能モデルは2013年でもかなりの高性能であることに変わりがない。
「歌詞ピタ」とかいう訳のわからない新機能にもワタクシは全く興味が無いし。
日常的に使うのに必要だったシリコンケースも、ネットのオークションで新品が450円で手に入った。
めでたし、めでたし。
実は、去年引越の準備をしている頃に
Bluetoothで音楽を聴く仕組みを少しずつ準備していたのだった。
普段使っているDELLのノートPCにはSONY製のソフトで音楽データを取り込んであって
本体から飛ばした音楽を小型のBluetoothレシーバー(写真のダイヤルのような形のもの)で受信し、
気にいったヘッドフォンを繋げば、
家の中を動き回りながらでもそれなりの音質で音楽を楽しむことができる。
あくまで「それなり」ではあるけれども。この自由な雰囲気は素敵だ。
▲NW-A820シリーズ SONYの広報写真から
思うに、最近の携帯音楽プレーヤーやスマートフォンは
画面の大きさに拘り過ぎているのではないだろうか。
今店頭に並んでいる最新の携帯電話のほとんどは寸法的に大き過ぎると個人的には思う。
今回手に入れたWalkmanの外寸は51.0mm×93.9mm×9.3mmで59g。
このくらいの大きさまでなら、胸ポケットに入れても邪魔な感じが無いし
何より掌にすっぽりと収まって具合が良い。
自分は2年前に手に入れたXperia X10 miniというかなり小型の電話機をいまだに使っているけれども
厚み以外はほぼ同じ寸法で、このコンパクトさは2013年の今では貴重なものになってしまった。
このWalkmanの画面2.4インチ、X10 miniは2.55インチと確かに小振りだけれども、
これ以上画面が大きくなることと引き換えに本体が大きくなってしまうのならば
ワタクシは出来るだけ今持っている製品を慎ましく使い続けることにしようと思う。
おそらく、世の中の多くの人は携帯電話でウェブの閲覧やNavigation機能が使えたり
携帯音楽プレーヤーの画面に歌詞が表示されたり動画が観られるようになったことを
「便利になった」と感じるのだろう。
でも、便利さと引き換えに失う動物的能力もあるような気がしてならない。
自分のクルマやバイクにナビをつけていない理由もその辺にある。
便利になるのは素敵なことだけれども、便利な機能に身を任せ過ぎて
「もうナビが無いと運転できないよ」なんていうことにはなりたくない。
コンピュータを使って文章を書くことが多くなって、
めっきり漢字が覚えられなくなったワタクシが言うのもなんだけれども。
音楽をじっくり聴く時には、しっかりと目を閉じてその世界に浸りたい。
電車に揺られながら音楽を楽しむ時には、窓の外を流れる景色に目を向けていたい。
そんな時、液晶画面を追いかける必要は無い、とワタクシは思うのであります。
いろいろな事が簡単にできるようになったけど
実は、基本的な事を知らずにできるようになっている
そんな気がしています。
僕の世代は(僕も今年、40代最後です・・・笑)
いろいろな、もの、こと、が
アナログからデジタル転換して行く時代に
ちょうど生きて来た世代です。
デジタルになると高速に計算できるから
いろいろな事が飛躍的に速くなって
結果、簡単便利なことが多くなった。
昔は、いろいろやらなきゃいけないことが
やらずに済む時代とも言える気がします。
実は、やらないで済んでいる事が
すごく不幸で危険な気が
最近しています。
by FTドルフィン (2013-02-20 18:49)
こんにちは。
良い出物と出会えて良かったですね。
ウチも最近Bluetoothを少しずつ使い始めてます。
まあ、他社とかとの競争もあるから、大きくなったりするのは、致し方無いですけど、失うものもある訳で...
by HIRO (2013-02-20 20:09)
わたしもWalkmanを使っています。
PCを使って音楽を管理するタイプ、最初にWalkmanを使ったので、
その資産(...と言うのでしょうか)を使い続けたくて。
手に入れられたWalkman軽くて小さくて良さそうですね。
by ナツパパ (2013-02-20 21:53)
おお!掘り出し物!良いですね!
なんか買手を待っているような?
運命の出会いのようなヽ( ゚∀゚)ノ
でも私は失敗も幾多か 。・゚・(ノД`)・゚・。
by RO (2013-02-20 23:47)
☆FTドルフィンさん、こんばんは。
ぁ、やっぱり同世代でしたね(微笑)、そんな気がしてました。
仰ること、よくわかります。自分もここ何年かずっと気になっています。
少し考えてみただけでも、自分で考えて工夫する力が衰えてきたり
自分で考えて仮説を立てて、それから足を運んで何かに出会って
仮説を検証してその結果を身につけて...なんていうプロセスが
どんどん省略されてきたような気がします。
少し意識的に時代に逆行しちゃおうかな、という気分なのです(笑
☆HIROさん、いつもありがとうございます。
無線の世界は、工夫次第でいろんなことができるようになって
なかなか楽しいですね。ヘッドセットは数年の間に軽くなって
電池の持ちも格段に良くなったと思います。
小さく軽くなる技術の使い方は好ましいと思うんですけどね...
☆ナツパパさん、こんばんは。
ワタクシの場合は、若いころからのSONY信仰がまだ薄れていない
せいもあるのかもしれません。音楽データを管理するソフトの出来
も決して褒められたものではないと思うのですが、仰る通り
使い始めたものを手放すのはどうにも気が進みませんし。
平均的に音質が良い製品が多い、というのはSONY製品の一貫した
美点だと思います。今回手に入れたものは造りもしっかりしていて
愛着がわきそうな印象です。
by harry (2013-02-20 23:57)
☆ROさん、こんばんは。
なんだか絵に描いたような出会いで、自分でもびっくりでした。
こういう掘り出し物を見つける楽しさは、ネット通販とはまた別の
買い物ならではの楽しさであります。
もちろん、ワタクシも失敗多数でありますが...笑。
by harry (2013-02-21 00:01)
新旧ともにSONYらしいデザインがいいですね。
そう言えば、自分は最近長時間ゆったりと音楽を聞くことが
なくなりました。
by カズ− (2013-02-21 00:46)
最近、ウォークマンに興味を覚えてます。なるたけコンパクトな奴で、上のカタログでは一番右の両耳防水タイプが気になります。泳いだり走ったりしていると、ボディが有ってそこからイヤホンに線があってだと、ボディがお荷物で線が邪魔。多種多様は万々歳。
by かみねんど (2013-02-21 07:38)
若い頃から音楽を持ち歩く習慣がなくて、やっと数年前にNW-S738Fという
小さいのを買いました。
ひどく疲れた時なんかに部屋で寝転がって聞くと、体に沁み込んだ音が
なにかを取り戻してくれるような気がしたりして。
主に車内用なんですが、そんな使い方だから私も小さくて絵の動かないので
充分。
音楽と対になる映像は、頭の中にあるのです。
by YASH (2013-02-21 21:05)
充分な性能のがあったとしても数年前のものって
だけで、ずいぶんな値段になっているのをみると
複雑な心境になることがあります。デジカメとか
安く買えた時は、ありがたいものの、それを作った
メーカーって大変だろうなあとか。
by うえいぱうわ (2013-02-22 02:01)
☆カズーさん、こんばんは。
自分も一時期音楽から離れていた時期がありました。
コンポ形式のオーディオ製品を使わなくなってしまっていて
カセットやMDのWalkmanには魅力を感じなかった時期
だったと思います。ここ数年のメモリー形式のWalkmanは
大きさと音質のバランスがなかなか良いので楽しんでします。
☆かみねんどさん、こんばんは。
イアフォン一体型のWalkmanが出た時は「なんじゃこれは」と
思ったんですが(笑)、ランニング用にはきっと便利でしょうね。
海外で売れているWalkmanは日本とまた違っていて面白いです。
by harry (2013-02-22 23:08)
☆YASHさん、以前の記事に貰ったコメントに書いてた、あれですね。
自分もNW-Sシリーズの大きさ・形ぐらいがちょうどいいと
思ってます。今回も掘り出し物が無かったら素直に今売っている
Sシリーズの黒を選んでたかと。
しっかり腰を据えて聴くのとはまた違って、ふとした時に目を閉じて
聴く音楽は他に替え難い効用がありますね。うん。
☆うえいぱうわさん、こんばんは。
前に自分も記事に書きましたけど、価格の下がるのが目に見えて
早くなってますよね。カメラなんて発売時点から随分安いし。
でも、同時にしっかりした造りでコンセプトのはっきりした商品は
たとえ発売から1年経っても価格がさほど下がらなかったりして、
そういう製品を覚えておいて、何処かで掘り出し物的に出会えたら
いいな...なんて思っていたりもします(笑
by harry (2013-02-22 23:22)