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家を建てる。 [暮しの手帖]

SnowMountainScheme.jpg
0124雪の朝。.jpg
久々にオリバー君を味わった翌週には、しっかりと雪が降った。
設計士さんに呼ばれて、1月の最終週とその翌週、2週続けて2日ずつ
工務店さんの資材置き場に場所を作ってもらって、家に使う部材の塗装をすることになっていた。


0125木工場で塗装!.jpg
相棒と二人、汚れてもいい格好で全身をくるんで、防腐剤の入ったオイルステインを
屋根裏の軒下の部分など、屋外に使う部材に塗っていく。


0125工務店さん3.jpg
色は「エボニー」という黒に近いグレーを選んだ。
母屋はガルバリウム鋼板という塗装して折り目を付けた金属板で覆ってしまうのだけれども
車庫は外装も板貼りの予定。
ガルバリウム鋼板は黒で、アルミサッシも黒。



0202休日の成果。.JPG
丸4日間、暖房のあまり効かない倉庫のような場所で、ひたすら刷毛を動かしていたのだけれども
自分たちの家を造る作業に実際に加わっているのだと思うと
なんだかとてもわくわくして楽しかった。
ただ、腰が痛くなって身体は辛かったけどね。
二人揃ってカイロを貼って、少し慣れてきた2週目は灯油ストーブを置いてもらい
今の我が家から電気ストーブとサーキュレータも持ち込んで、何とか乗り切った。

寒さのせいで乾きの遅い塗った材料をひたすら移動しながら2回塗りを終えると
杉板や米松の質感が浮かび上がってきて、なかなか良い雰囲気に仕上がったと思う。
オイルステインの匂いが身体にもクルマの中にも滲み込んでしまって、
すっかり抜けるまでに一週間かかった。

☆☆☆

実は、今回頼んだ工務店さんに行きつく前に、別の設計事務所も訪ねてみたのだけれども
我々の限られた予算を伝えると、「その金額で今まで建てたことはないです」と
あからさまに顔を曇らせて言われてしまったのだった。
どんなにシンプルに考えてもあと数百万足りない、というばかりで
特に提案もなく、我々にはどうしようもなかった。

その後、いくつかの土地を見て回って、これはと思った物件を分譲していたのが
今回頼んでいる工務店さんだった。自社で整地して、木材を敷き詰めた舗道まで整備されていた。
「家というものをですね、幾ら出すからどういうものができますか?、と
 まあそういう買い物と思って見える方が多いんですけどね、
 私はね、家っていうものは本来お施主さんが建てるものであって
 こういう家を建てたい、でも自分達では造れない部分をお願いしたい、ということで
 私達を使ってもらえたらいいと思うんですよね」
社長さんの話はなかなか素敵だった。

お互いにアイデアを持ち寄って、まとめてもらったプランがとても魅力的だったので
設計は比較的スムーズにまとまり、その後の詳細な見積で予算を超えてしまう部分を
悩みながら削って、最終的にはかなりの部分の塗装を自分たちでやるという仕様で
話がまとまったのが去年の秋の終わりのこと。
 


0208上棟5.jpg
「今週は塗装は無いです。ゆっくり休んでくださいね(笑」
若い設計士さんはちょっと高校球児を思わせる純真な目をしていて
夏に最初のアイデアを持ち寄って話をした時にすぐ、「この人に任せよう」という気持ちになった。

そして、先週のこと。
「柱が立ち始めました、よかったら見に来てください」というメールをもらって
晴れ間の広がってきた昼過ぎにクルマで向かってみると...おお、形が見え始めている!

0208上棟3.jpg
しばらく職人さんたちとも話をしてから、クルマで反対の西側に回ってみる。
真東に向かって立つと、正面は美ヶ原の山並み。
片流れの屋根は南向きに下がっていて、北側の2階の窓からは北アルプスが見えるはず。


0215屋根できたsmall2.jpg
そして今日。
屋根の下地も張り終って、サッシ屋さんと現場で窓の高さなどを確認する打合せ。
何度か降った雪がまだ畑の表面にはしっかり残っている。


0215屋根ができてきた。.jpg
初めて建物中に入ってみた。
木のいい香りがする。感激。
小さな造りだけれども、これで十分なんじゃないだろうか。
屋根の張り出した部分の裏側に、我々が塗った部材がしっかり見えている。


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0215車庫small3.jpg
オートバイ3台+αを収納できる車庫。ここだけは贅沢な造りなのだ(笑
雨の休日はここで過ごすことが確実に増えそう。

「あとで釘を打ったりできるように、ここだけは内側も板貼りがいいんじゃないかと。
 それと、何かオートバイの部品を何処かに使えないかと思って考えてるんですけど。
 ドアストッパーとか取っ手とかに...」
ワタクシが言ったのではなく、若い設計士さんがそんな風に言ってくれたのだ。
こういう共同作業はとても楽しい。



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柱と梁の組み合わせを見ていると、壁が立って見えなくなってしまうのが惜しい気がする。

「先日はお茶菓子をご馳走様でした!」
職人さんたちは、この寒さの中でも白い吐息を吐きながらてきぱきと動いていて気持ちが良い。

「彼はまだ20代なんですけど、木の目を読むのが上手いので任せてるんです」
設計士さんが言う。この工務店さんは大工さんも自社の社員だそうで、
一緒に過ごしているうちに評判が良い理由がよくわかった。

今月の終わりからは、また別の部材の塗装が待っている。
春に引き渡された時点でも、内装は壁の下地までしか仕上がっていない筈で
最後は我々自身で塗って仕上げるのだ。大変そうだけど、楽しみでもある。
何処かに絵でも描いちゃおうかな...


タグ:家づくり
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Dスケ

大変だけれども、自分たち自身で作り上げる家は夢も一杯、愛着もひとしお、
よい人達に巡り会えると気持ちも嬉しくなってしまいますね〜
by Dスケ (2012-02-15 21:10) 

harry

☆あ、ご近所のDスケさんでしょうか?こんばんは。
 今回は本当にいい出会いがあって嬉しかったです。
 時間を掛けて造るっていうのもいいものですね。
by harry (2012-02-15 23:25) 

Nori

かなり広そうなお家に見えるんですが、そーでもないんでしょうか。
バイク3台停められるガレージ。
いいなぁ。裏山Cです。
by Nori (2012-02-15 23:46) 

boo-pee

珪藻土塗りはいつ頃行けばいいですか?

あ、あと、テント張るスペースも開けといてください。w
by boo-pee (2012-02-15 23:47) 

harry

☆Noriさん、おばんです。
 母屋は必要最小限ですね。今住んでいる一軒家の貸家とほぼ同じ。
 でも、車庫が妙に大きめなのと、渡り廊下で繋げているので
 幅が広く見えるんです(笑
 東京に居たら無理でした。こちらに越してきて良かったことの
 一番になりそうです。

☆boo-peeさん、お元気?
 珪藻土塗りは4月!(笑
 コテ持参でお願いします♪

 あ、周りにテント張り放題の山芋畑がありまして...
by harry (2012-02-16 00:03) 

POWERED

ガレージ。自分で手を入れる感じ。
とても良い家が出来そうな予感がします(^-^)
by POWERED (2012-02-16 01:39) 

ところで、

洒落た家ですね。素敵。

内装塗るのって楽しいですよね。
一度塗れば塗り替えることに抵抗無くなるし、
どんどん自分の家になっていくっていうことに憧れます。
夢があっていいなぁ。ガレージも。

by ところで、 (2012-02-16 01:48) 

RO

いや、楽しいですね!
そちらは雪対策はされているのですか?
若干屋根の勾配があるような。。。
あと車庫?の換気とか。
by RO (2012-02-16 05:13) 

きむたこ

いい色だ〜☆
by きむたこ (2012-02-16 08:39) 

HIRO

こんにちは。
何でもそうですが、良い出会いというのは大事ですね。

ウチのリフォームも、飛び込み営業とかのに任せる気にならず(というか、昔 外壁塗装で痛い目にあった?)、知り合いの伝手を頼って、新築専門の?工務店さんにお願いしました。
家というのも様々な業種の職人さん達の集合体の成せる技ですよね。
完成が楽しみです。
by HIRO (2012-02-16 09:34) 

なおネィ

いい工務店さんと出会うと、こんなに楽しいんですねぇ。
確かに、梁はいつでも眺めたいくらいかっこよい!

車庫と渡り廊下で繋がってるなんて、もーステキすぎ。
正直、読み終えるまでになんどかため息つきました。

テントスペース、ワタシもいつか拝借したいです。^^;

by なおネィ (2012-02-16 14:47) 

かみねんど

屋根には太陽光発電をにらんで南に垂れているのですか?注文新築!なんて心ソワソワさせる言葉なんでしょう素晴らしい。(^O^☆♪ははは。
by かみねんど (2012-02-16 15:02) 

harry

☆POWEREDさん、まあ予算が足りないのが一番の理由なんですけど
 家って一度に「完成」しなくてもいいんじゃないかと思えたのは
 新鮮な気づきでした。少しずつ住みやすくしていこうと思ってます。

☆所出さん、ありがとうございます。
 前に庭園造りの仕事で出会った英国人は、趣味は何かと訊かれて
 即座に「家の補修が一番好き♪」って言ってました(微笑
 新築の家をある種の素材と考えられるようになって
 かなり気が楽になったような気がしてます。
 ガレージがBar兼用になるといいかも...なんて。

☆ROさん、はい、楽しんでおります!
 この辺りは豪雪というほどではないのですが
 雪かきはそれなりに必要という感じです。
 車庫は南北に風が流れるように考えました。

☆きむたこさん、いらっしゃいませ。
 この色、渋くていいでしょ。かなり好きなのです。
by harry (2012-02-16 23:10) 

harry

☆HIROさん、こんばんは。
 ほんとに、世の中の大半のことは人との出会い方で
 決まってしまうという気がしますね。今回は幸運でした。
 本当に家づくりって様々な職種の職人さんが集まる現場ですね。 
 集まる人達から知恵を分けてもらって一緒に楽しめたら...
 なんて思っています。

☆なおネィさん、いらっしゃいませ。
 思った以上に本格的&伝統的な造り方をする工務店さんで
 部材に彫ったほぞ穴なんかを見ているだけでも楽しいです。

 母屋を思い切り小さくすると風呂場などが外に出てしまう...
 というのを逆手にとって、渡り廊下に風呂場やトイレを
 納めてしまったのです。古い家みたいで楽しいかな、なんて。

 周りは本当に長閑ですよ。野菜が美味しいのが自慢です(笑

☆かみねんどさん、こんばんは。
 はい、ゆくゆく余裕ができた時に考えようか、と。
 でも、自分が家を建てることになるとはほんの数年前までは
 全く現実的に考えたこともなかったんです。
 所変われば生活も、ということなんでしょうね。
by harry (2012-02-16 23:27) 

McCoy

素敵な素敵な、とても素敵なお話でした^^
読んでいて自分の気持ちまでとても楽しくとても暖かくなりました。
(それからちょっと、いや、かなり羨ましくなりました^^ゞ)

とても素敵な家が建つ日が楽しみですね〜^^b

by McCoy (2012-02-17 22:15) 

カズ−

その一部だとは言え、自分たちが手を加えたパーツが
使われるって、いつまでもいい思い出になりそうですね。
この間、保険を使い門扉を直してもらった工務店さんは、
何回か家の修理をお願いしたことのある工務店さんで、
保険屋さんが見積金額の安さに驚いていました。
工務店さんによって、値段も中身もずいぶん違うようで
すね。
harryさんも良い工務店さん、良い設計士さんが見つか
って本当に良かったですね。
by カズ− (2012-02-17 23:32) 

うえいぱうわ

こういう工務店さんもあるんですね。
何にせよ、自分たちの住む場所を作っていくと
いうのは、辛くとも楽しい経験になりますね。
私もがんばろっと(笑)
by うえいぱうわ (2012-02-18 00:59) 

FTドルフィン

素晴らしいですね!

こういう素敵な出会い
harryさんの人柄が引き合わせているのかなぁ
なんて思いました。
by FTドルフィン (2012-02-18 13:23) 

辰

良い出会いがあって、素敵なお家が出来上がりますねぇ、、
3台のバイクも喜んでますよ^^)
by (2012-02-18 14:04) 

木菟

こんばんは。
着々と出来上がってますね。
黒檀色に、鋼板も黒。ピアノのようですね。
あ、ひょっとして松本城?
by 木菟 (2012-02-18 20:00) 

POP

こんばんは。
正直、今の家を建てるときに関わった人は、
お世辞にも、よい人とは言えませんでした。(ノ_・、)
羨ましく思うと共に、
他に人には決して同じ悲しみを感じて欲しくないので、
ハウスメーカーはSHだけは、よしておけと言っております。
by POP (2012-02-18 20:12) 

harry

☆McCoyさん、どうもありがとうございます。
 自分達も、今回は(今のところ)本当に良かったね...と
 あわてずに考えて良かったなあ、と感じております。
 勢いで中古住宅買っちゃおうか、なんて思ったりもしたんですが。
 やっぱり。なんでも参加してみるのっていいものですね。

☆カズーさん、こんばんは。
 先日の「門に激突」のお話、大変だなぁと思いながら
 拝見してました。きれいに直ってよかったです。
 そういう時にも、お付き合いって大事なんですね。

 社風とか会社の姿勢って、話し方とか顔付きに出てしまうもの
 なんだなぁと今回思いました。
 最初に訪ねた時の印象が間違っていなかったような気がして
 嬉しく感じています。

☆うえいぱうわさん、自分も全く初めてのことだったので
 設計事務所に頼むべきなのか、ハウジングメーカーに
 相談するべきものなのか、なかなか判断がつかなかったですね。
 結果的には「いい設計士さんのいるいい工務店」に出会えた
 のかもしれません。偶然だったのかもしれませんけど。
 頑張っていい出会いを見つけてくださいね♪
by harry (2012-02-19 23:26) 

harry

☆FTさん、ありがとうございます!
 家にしても、バイクにしても、自分である程度研究してから
 あとは足を運んでお話してみないとわからないものですね。
 先入観をなるべく持たないようにして、素直にいろいろな
 お話を聞いてみると、いろいろと見えてきたような気がします。

☆辰さん、おかげさまでようやくちゃんと仕舞える場所が
 出来そうです(笑
 これで錆も進まずに済むかなぁ...なんて。

☆木菟さん、お久しぶりです。お元気ですか。
 そうそう松本城(笑)...じゃなくて、ほら、性格が地味なので。
 黒が背景だと、ちょっとした緑も映えるかなあ、と
 期待しているのであります。

☆POPさん、こんばんは。
 今回お世話になっている人達は、社長さんもその奥さんも
 スタッフも、なんだかとても気持ち良くて、楽しんでます。
 工務店さんと話してみると、ハウジングメーカーというのは
 基本的に余裕があって面倒なことを自分で決めるのが苦手な
 人に向いているのかな...なんて思いました。
 大手の安心感を買う、というのは天邪鬼な自分の性格には
 あまり合ってないのかもしれません(微笑
by harry (2012-02-19 23:48) 

e-g-g

>家っていうものは本来お施主さんが建てるもの・・・
家を建てると言えばまずは棟梁に相談、
と、そんな時代はたしかにそうだったのでしょうね〜
いつ頃から変わってしまったのでしょう、、、
たぶん戦後に急増された木造住宅、
そのあとの高度成長時代に登場した?ハウスメーカーの存在、
それと宅地開発のデベロッパーと、、、
そんなこんなが私たちの価値観を変えてしまったのでしょうね。
そもそも、そこに住む人が主体のはずなんですよね。
いま、住み替えを画策中ですが、いろいろと考えさせられます。
(まだとても漠然とした計画ですが)))
by e-g-g (2012-02-20 18:01) 

harry

☆e-g-gさん、自分はずっと家を建てることは一生無いだろう、と
 思っていたんですけど、こちらに来て「古い山小屋か民家でも買って
 直しながら住めないかな...」などと思うようになりました。
 土地の広さ=安さが第一、ですね。
 「日本一美しい村」という謳い文句の鬼無里をバイクで通ると
 昔ながらの農村風景に住宅メーカーの建売住宅が浸食してきていて
 ちょっと興ざめしたりもしました。
 感覚の優れた設計士を抱えた良心的な工務店に出会えたのが
 今回の一番幸運だったことなんではないかと思っています。
 この土地らしい造りをベースに、ちょっとした遊びが盛り込めたら
 最高ですね。
 
by harry (2012-02-22 00:10) 

MU

始めまして。MUと申します。
かみねんどさんのところから飛んできました。

私も今、家を計画中なので、参考
にさせていただいています。

「自分の家を自分で造る」

素晴らしすぎます!
by MU (2012-03-13 22:47) 

harry

☆MUさん、こちらこそはじめまして。
 今日は仕事の休みを丸一日使って、二人で車庫の外壁に使う
 木製の板の塗装をしてきたところです。長いものでは3m以上も
 ある板が130枚以上もあって、1日では1回塗って乾くのを待つのが
 やっと、明日も丸一に日かけて2回目の塗装になりそうです。

 疲れますけど、なんだかとても楽しいんですよね。
 ご参考になるかどうかわかりませんけれども、どこかご自身で
 完成させる場所があると、また愛着が違うかもしれませんね。
by harry (2012-03-14 22:57) 

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