益子で昼寝、の巻。

土曜日から休みが4日。
相棒は少し前から長野の実家に戻っていて、庭弄りを楽しんでいるらしい。
迎えに行った足で、そのまま何処かをまわって2泊くらいのんびりしてみることにした。
相棒の希望は、焼き物の町「益子」を散歩してみたいということと
霞ヶ浦を眺めてみたい、という二つ。
あまり縁の無い群馬～栃木を西から東へ横断してみることにした。

土曜日の雨はなかなか止まず、中央道に乗ったのは午後4時近く。
渋滞らしい渋滞は無く、笹子トンネルを抜けると一気に日差しが強くなった。
秋～冬用のジャケットを着てきたせいで、バイクを停めると汗が出るほど。
でも、中央道を西に向かうのっていいなぁ。
何度も走っているせいか、茅野辺りまでなら周りの風景の変化を楽しみながら
リズムよく走ることができる。時間も読めるし。

釈迦堂P.A.で連絡を入れた予定時刻ほぼピッタリに相棒の実家に到着。
庭には枝垂桜がまだ綺麗な花をつけていた。相棒のお父さんは玉葱の出来が良さそうだとにこにこ。
庭先でアイスコーヒーとエクレアをいただいて一休みしてから
相棒を後ろに乗せて白樺湖～女神湖へと登って行き、延々と下って佐久I.C.へ。気持ちの良い道だった。
ちょうど辺りが暗くなって、上信越道の横川S.A.で久々に「おぎのや」の釜飯を食べてみた。
久々に食べると、おぼろげな記憶以上に素朴な味で、意外に（失礼！）美味しく感じた。



横川の先で高速を降り、一般道で高崎市街まで。
直前に慌てて予約した高崎のビジネスホテルは、以前に一人で新潟まで仕事で出掛けたときに泊まった宿だった。
大人二人で朝食付き、6500円。安かった。

ここまで、自宅から約260km。夕方に出発した割りにはそこそこの距離だった。

☆☆☆


日曜日。
天気はいい。
高速を使わずに、大田～佐野へと東へ淡々と移動する。
途中からだんだんクルマの数が多くなってきて、そのうちに2車線ともびっしりと埋まってしまった。東北道の入口まではもう少し。
適当に脇道へ逃げてみると、その先にもクルマが。
のどかな風景なのに、視界に入るすべての道にクルマが並んでいて、ちょっとくらくらした。橋の上にも、横道にも...

えいやっとあてずっぽうでクルマの少ない道を辿っていくうちに、目的の道に出た。
東北道に乗ると、いきなりの渋滞。事故だという。
数キロほど我慢してクルマの間を歩くようなスピードで抜けて、真岡までつながったばかりの北関東自動車道へ。
アスファルトの匂いがまだ残っている黒光りした真新しい道路は、がらがらに空いていた。
オリバーくんのエンジンは4000rpmを越えると滑らかさを増して、何とも気分がいい。
5速100km/hがちょうど4000rpmを過ぎた辺りなのだけれども
タンデムで少しでも勾配があるような道だったら、4速に落として4500～5000rpm位回した方が
エンジンも楽しそうにまわっているように感じる。

真岡で一般道に下りて軽い昼食を取り、益子へ。
SLが走ることもあるらしい真岡鉄道の線路を渡ると、急に歩道からはみ出すほど人が増えてきて、クルマの列が動かなくなった。
陶器市の会場が近いらしい。
のんびり歩いてみたいという相棒を降ろし、ヘルメットとジャケットを預かって、一人で町を離れて避難することにした。
ちょっと平日の疲れが染み出してきて、何処かで眠りたくなったのだ。ちょっと陽射しが強すぎる。




何処かにひっそりバイクを停められそうな日陰はないかな...と5分も走らないうちにこんもりと茂った森を見つけた。
重く感じるジャケットを脱ぐと、木陰を抜ける風の心地よいこと！
1本煙草を吸ってから、昔何処かでR100GSの上で寝るライダーの写真を見たことがあったなぁ、と思い出した。




こんな感じで、どうだろう。
写真で見たライダーは、タンクに背中を乗せてメーターの辺りを枕にしていたような気がするのだけれども
どうも普段と反対向きに跨るのは抵抗がある(笑
で、逆に前よりに腰を降ろして、後部座席の後ろに枕を作って（といってもジャケットの袖を折っただけだけど）
しずしずと寝そべってみた。
あ、これはいけるな。





静かだ。
左肘を軽くパニア・ケースの上のヘルメットに当てて。転がりそうな気配はしなかった。

益子まで来て、昼寝してるっていうのもどうかとは思うけれども、
なんだかこれはこれで贅沢なことなような気もしてきた。
ハンカチを目に上において、しばらく自分の呼吸を聞いているうちに眠りに落ちた。




「プフォーッ！」
ついこの間聴いたばかりのSLの汽笛。かなり近くで鳴って、思い切り目が覚めた。
さらに2回。小一時間経っている。

「フォッ、フォッ、フォッ、フォッ....」
少しずつ、南へ遠ざかっていく。
追いかけても間に合いそうもないな。
ゆっくりと身体を起こして、少し移動してみることにした。

と、そこでジャケットの袖口が裂けているのに気付く。
どうやら、脱いですぐにハンドルに掛けた時に、エクゾースト・パイプに触れてしまったらしい。
左のエキパイに何かが溶けてこびり付いた痕があった。

また5分も走らないうちにホームセンター「コメリ」があったので
#1200番のスポンジやすりとピカールを買って少し磨くと、こびり付いた物と一緒に青味がかった焼き色も落ちてしまった。
仕方が無い、また一旦綺麗に落としてきっちり焼くことにしよう。

そろそろ、相棒を降ろしてから2時間。





陶器市の会場が車道の左右に延々と続いているのだけれども、
歩行者天国にクルマで突入しているような気分。
人に揉まれて、相棒も少しぐったり気味。
でも、「益子がこういう場所だってことがわかっただけでも面白かった」だって。

ワタクシはここに何時来たんだったっけ。
協力隊から帰ってきた直後だから...もう10年と少し前だ。

再びあてずっぽうでクルマの少ない道を走って町を離れ、茂木方面に向かうことにした。
時間は4時を過ぎたところ。暗くなる前に水戸に着けばいいだけなので、のんびり走ることにした。

（つづく）

コメント 12

益子の町の賑わい、けっこうなものですね。
新名神開通で観光客急増の信楽も、ここまで人は多くありませんw
by Jetstream31 (2008-05-07 00:09) 

こんにちは。
益子の街凄い賑わいですね～。

バイクの上で自然を感じながら休む。

普段、時間に追われて走っている私にとって、
必要なことなのかもしれません。
by key-k (2008-05-07 12:01) 

益子は、北海道で活動している陶芸家の修業の地である
ケースも多いんですよ。知り合いの作家さんは今も、
このお祭に毎年参加している…といっていました。
何か、掘り出し物は見つかったのでしょうか　(・・?

こちらの連休は、安･近･短を心がける人が多かったようで、
近場の人気のお店や道路がとても混んでいましたよ。
我が家は日帰りで朝から夜まで、ちょこまか、動き回っていました。
いつもと変わらない休日の過ごし方…のような気がしましたが、
人や車の賑わいで連休気分をたっぷりと味わいました（笑


by MORIHANA (2008-05-07 12:32) 

おぉ〜
益子ですか！
真岡鉄道のそばでお昼ねだったんですね！

いちど陶芸を体験したいんですよね〜
菊練り〜ろくろ・・・

しかしずいぶんと混んでるんですね。。。
by FTドルフィン (2008-05-07 21:22) 

こちらで陶器というと瀬戸や常滑が有名ですけど、
土岐・瑞浪の辺りも美濃焼きの産地です。
そういう町って窯元を巡る散策路みたいなのがあって、
普通の静かな休日でも歩いてみるとけっこうおもしろいですよ。

ジャケット、残念でしたね。
こういう話を聞くと革ジャケットの良さを思い出してしまいます。
焚火の火の粉にも強いし（笑）

by YASH (2008-05-07 21:59) 

タンクに身を任せて昼ねいいです
今度試してみます
by アホライダー (2008-05-08 00:12) 

エキパイでジャケットの袖を溶かした・・・
どっかで聞いたような話だ！

そんな事までお揃いにするとカナリ仲良しだと思われるジャン（爆）
by ラスカル (2008-05-09 22:59) 

木がいっぱいの写真を見たら、
鼻がぐずぐずしてきちゃったよ・・・。（爆


by きむたこ (2008-05-10 10:37) 

自分も久しく釜飯食べてないのでこの記事見て食べたくなりました～
相棒さんがのんびり歩いてみたいというのは相手に気兼ねせず一人自分のペースで歩き回りたいという事だったんですかね。
そういう気持ちってわかります (^^)
by イナテツ (2008-05-14 16:55) 

☆Jetさん、写真で見る以上に凄かったです。。
　相棒の話では、道路からそれた脇道やら空き地なんかまでびっしり...
　だったらしいです(汗
　平日にのんびり行くべき所なのかも知れないですね。

☆key-kさん、こんばんは。
　元気があったら突入して見たかったんですけど、今回は無理でした(苦笑

　出掛けた先で眠るのって、何だかとても幸せな気分になれるんですよね。
　木陰で眠るなんて、贅沢なことなのかも...と自分でも思いました。
　いい気持ちでしたよ。

☆MORIHANAさん、こんばんは。お元気？
　昔訊ねた時にも、海外から陶芸を学びに来た人の作品を扱うギャラリー
　なんかがありましたね。
　掘り出し物は、今回は一つだけ。
　うちの実家の母に相棒がプレゼントしてました。

　連休が分散化して、だんだん皆んな休み方が上手になってきたのかも
　しれないですね。渋滞で我慢するために出掛けてるんじゃないっ！、って。
　家でも楽しく過ごすことはできるし。いい傾向なんじゃないかと思いましたよ。
by harry (2008-05-18 23:11) 

☆FTドルフィンさん、そう、すぐ近くでした！
　汽笛が鳴った途端に飛び起きたんですけど、南へ走り去っていったみたいです。
　SLじゃない普通の車両がとてつもなく派手な色で、びっくりしました(笑

　僕は学校で陶芸を一通り経験したんですけど、あれは結構忍耐が要るもの
　ですね。菊練を習得するだけでも、僕は脱落してしまいました(苦笑
　でも、出来上がりが簡単には想像できないものこそ、飽きないんでしょうね。

☆YASHさん、やっぱり火を使うものづくりの楽しさ、なんでしょうか。
　出来れば静かな平日に、手ぶらで一日のんびり見て回りたいと思いました。
　その町の人の暮らしぶりなんかも眺められたら、って。

　ジャケット、季節外れのバーゲンで5000円で買ったやつだったので
　ショックが少し小さくで済んだかも。例の火星探索服(笑
　そう、そのうちに革のシンプルなものも欲しいんだけど。。

☆アホライダーさん、GSアドなら楽勝ですよ、きっと！
　一度寝方を覚えれば、どこでもいけますから、ね(微笑
by harry (2008-05-18 23:20) 

☆ラスさん、お帰り！
　そう、真っ先にあの話を思い出しちゃった(笑
　溶けたと言うより、裂けたって感じで。
　「また仲良しになっちゃったよ！」って独り言ぶつぶつ...(苦笑

☆きむたこさん、そうそう、風に揺られて「ぶわ～」って(笑
　僕はもう大丈夫になったので、他人の辛さがあまりわからなくなりました。。

☆イナテツさん、こんばんは。いろんな所で楽しまれてたみたいですね。
　釜飯って、なんだか小宇宙っぽくて楽しいんですよね。
　福井だったら蟹とか海産物のものがあるような...旨そうな感じがします。

　ずーっと二人で移動してて、ふと足を下ろして
　自分のペースで歩いてみたくなるのかな...なんて思ってました。
　つかず離れず、自由な部分をもてたほうが旅は楽しいですしね。
　僕も昼寝が出来てよかったです(笑
by harry (2008-05-18 23:28)