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転職人生-協力隊員に。 [仕事と私]

2ヵ月半の研修中には、語学だけでなく「国際協力の仕組と意義」についての講義や
体力測定や、毎朝のマラソン、オートバイ運転教習、鶏のさばき方、などという様々なことを学ぶ。
一番面白かったのは語学研修旅行かな。
長野の訓練所から観光地の高山へ、クラス数人&ペルー人の先生と出掛けるのだが
日本語は禁止。皆でスペイン語だけを使うのだ。
でも、どうみても日本人なわけで。お店のおばさんも不思議そうだ。

仕方がないので、妙な片言のニホンゴで
「エートオ、ワタシタチ、ペルーカラ、キマシタ。」
「あらあ、じゃ、ペルーの人?」
「2セイ?デス。」
「なんって?あーお父さんお母さんは日本人なのね」
「ソーデス」
で再びスペイン語で会話。"Ahora estoy buscando algo otro..","Bamonos ! ""Si, si"

「んでも、ほら、立派だわあ、ちゃあんとこうお母さんの国に帰ってきたんだものねえ..」
むむむ。騙してごめんなさい。

2ヵ月半の研修が終わり、出発の前に赤坂御所で皇太子と歓談の機会があった。
なかなか感じのよいホールのようなところへ皇太子が登場。
グラスワインや煙草!なんてものも用意してあって(菊の御紋つき)
「どうぞ、皇太子殿下にご質問などはありませんか」という声に
ほろ酔い気分の若い女性隊員がすかさず
「ご結婚のうわさがありますけど、どーなんでしょうか」
え、そんなこと聞くなよ(笑
でも当の殿下は
「まあ、そうですねえ、そういうことはご縁ですから。どうでしょうか。貴女はもうされましたか」
「え、私は.....まだです」
と、見事な切返しだった。出来る男なのかもしれない。

当たり前だけれども、2ヵ月半で言葉が流暢に話せるようになんてならない。
で、我々ラテンアメリカ組は大挙して今度はグアテマラに送られて、
さらに1ヵ月半、スペイン語の特訓を受けるのだ。

ホームステイで、少しずつ日本語から引き離されていく。
アンティグアの街は時間が止まったような美しさで、
スペイン語を学びにきた各国からの若者と出会う。
近くには原住民の血を引くインディヘナ(インディアンとは呼ばない)の住む山村があり、
都市部と交流のない彼らを知る人に紹介してもらってぼろぼろのバスを乗り継いで行き、
コカコーラを土産に、昔ながらの調理法で料理をご馳走になったりした。
「何で今日は奥さんいないの」
紹介者が尋ねると
「いや、この間浮気がばれて、畑の斜面から突き落とされたよ」
ハナ肇に瓜二つのインディヘナのお父さんが照れくさそうに笑う。

言葉が通じると言うことが、こんなに楽しいことだとは!


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コメント 15

pon

では、早速コメントしに(笑)
オイラは鶏をさばくのは遠慮したい
頭落とされても走り回る姿を見て、一時期食えんかった
by pon (2005-02-27 02:49) 

harry

あらら、こちらにですか。
この時さばいた鶏がおじいさん(おばあさん?)だったみたいで
えらく筋っぽかったんですよ。
嬉々として食べる人と、全く食べられない人とに
分かれましたね、たしかに(微笑

って、求むって言うのはラスさん自身の記事へのコメントだってば!
by harry (2005-02-27 03:14) 

kazutoku

何を隠そう私は語学教師です。
ナイスの理由は、最後の「言葉が通じると言うことが、こんなに楽しいこと
だとは!」になるほどと思うからです。言葉を学ぶ原点はこれですよね。
こういう体験をさせてあげられれば、モチベーションが維持できますから。
通じてうれしいってたくさん言わせたいです。
by kazutoku (2005-02-27 08:03) 

ところで、

うすうす気付いていましたが、すごい経歴ですね。
先輩って呼びたいけどそれも叶いませぬ。。。
自分はずいぶんドンブラコと流されて生きてきたもんだと反省しきり。
by ところで、 (2005-02-27 09:42) 

ブタゴリラ

本当にいろんな人がいて、紡がれていくのだなぁ。。。と。
ふと思いました。
海外は、1度だけ韓国にいったことあるだけで。。。
友が昔、協力隊で東南アジアに行っていたことを思い出しました。
by ブタゴリラ (2005-02-27 11:05) 

harry

kazutokuさん、ほんと、あの楽しさはなんとも言えないものがありますね。
文化の違う人と、片言でも言葉のやり取りで心が通う不思議。
こちらが相当へたくそでも、相手の人はだいたい皆喜んでくれました。

ところで、さん。お褒めの言葉うれしいんですが、全然すごくないんです(汗
勢いだけで。飽きやすい&持続性に著しく欠ける性格なのです。
学生時代の親友の一人は、じっくりグラフィックを突き詰めていって
AXISのエディトリアルをまとめるようになってましたが
ひとつの世界を追求し続けることのほうが、わたしにはすごいことに感じます。
とうわけで、笑って読み飛ばしてくださいませ。
by harry (2005-02-27 11:07) 

harry

ブタゴリラさん、こんにちは。
最初に行った海外の印象って強いですね。
いまだに初めての外国の空港を出た時の空気の違いを
思い出したりします。
友人の方は楽しんで戻られましたか?
by harry (2005-02-27 11:13) 

pon

最近は賛否両論のコメントが増えて、自分の記事には
コメントしづらい(笑)

ちなみに、あ・そ・こ の記事で出会ったということは
オイラの生年月日を知ってしまったのですね!
by pon (2005-02-27 11:42) 

harry

そういうことです(笑
これから秘密のブラックリストで照合始めます。えーと19...
by harry (2005-02-27 12:08) 

barbie

Muy simpatico para "言葉が通じると言うことが、こんなに楽しいことだとは・・・"(スペイン語のアクセント記号が出ません・・・)
フランス語圏のニューカレドニアに行った時に思うように言葉が通じず楽しさ半減でした。
じっくり詰めて一つの仕事だけってのも人生かも知れませんが、私はharryさんの行きかが魅力的です。続編お待ちしてます。
by barbie (2005-02-27 13:45) 

harry

ありがとうございます。自分でも何処でどうするべきだったか、
いまだによくわからないんですが。

ラスカルさん同様、今の仕事で苦しんでいるせいで、ちょっと振り返っておこうかな
という感じなのかもしれません。もう少し続けてみますね。
って、今も職場なんですけど(苦笑
by harry (2005-02-27 20:57) 

harryさんにとって、言葉もバイクも移動しつづけるためのツールなんですね。素敵な生き方だなー。
by (2005-02-28 21:43) 

一連の記事拝読しました、harryさん適応能力高いっすね!?
持病持ちはボランティアには向かないという現実に諦めてしまった臆病者です。
以来、ザガート(喜捨)でもできれば…と思うのですが、そんなに偉くない!(笑)
by (2005-02-28 22:56) 

こうなったら目指すわ大阪のティモシェンコ

harryさん
続編が早く読みたいです。
私は秒読みで40年生き延びた記念日を迎えます。絶対34才で死ぬと思ってたから、何となくラッキー♡
(この世代に与えた五島勉の影響は大きいと思うのだが、如何。)
では失敬!
by こうなったら目指すわ大阪のティモシェンコ (2005-03-01 09:36) 

harry

昨日は久々に徹夜。
もーろーとしています。って、まだ職場なのだけれども。

●ohさん、
移動し続けたい、というのが何時の間にかテーマのように
なってしまいました。まあ飽きっぽいというのが一番の問題で(苦笑

●kenpaさん、
適応能力あるのかどうか....。できるだけ「自分はこういうものだ」という
思い込みを減らしたい、とは思ってます。何にでも成れるのだ!くらいに。

●ティモシェンコ(笑 さん
おめでたい。新しいラケット、新調してあげたい。
ティモさん、きれいです。すきだな。房枝さんとは違う生き物だ。
五島勉!あの死神的な顔つき、ああいう頬のコケ方が目標です。
by harry (2005-03-01 21:08) 

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