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走り続けて自分と出会う。 [BMW R100R Mystic]

Forest_scheme.jpg
1018へぎそば、.JPG
毎年この時期になると連れ出してもらう10年来のオートバイ仲間と一緒に
今年も秋の「慰安旅行」に出掛けてきた。
ここ数年、年間走行距離が短くなる一方のワタクシに気遣ってくれてのことか、
今回は2泊で距離もたっぷり。走り甲斐のある旅になりそうだ。

いつものように関東と中部からワタクシの住処の信州に仲間たちが集まってきてくれて
しかも集合場所にも先に来て待っていてくれるという...
持つべきものは信頼できる友人、ということを今更ながら思いつつ出発。

上信越道を中野まで進み、以前に何度か通った国道117号線で十日町から小千谷に抜けて
ラスカルさんがいつものように下調べしておいてくれた店で
この土地ならではの「へぎそば」をいただく。

1018からし、.JPG
昼下がり、丁度テレビでも紹介された直後だったらしく繁盛している店で
3人前の桶と旬の茸の天麩羅を。
薬味に和からしが添えられているのが独特で、
試してみると、なんというか乾いた辛さ。
意外にへぎそばのつるりとした味わいに合うものだな、と思った。

1018たまには雨も。.JPG
長雨続きだった天気もこの週は一転して晴天の予報。
雨具を珍しく積んで来てはみたものの、それはあくまでお守り的な心の準備で...
などと甘いことを考えていたら、奥只見に突入するあたりで何度かしっかりとした雨に弄ばれた。

諦めてしっかりと雨具を着る二人を横目で見ながら、
「これは通り雨なのだ、予報では雨ではないはずなのだ」と呪文のように唱えながら走っていると
そのうちに身体に当る雨は止み、しっとりと濡れた路面を慎重にやり過ごしながら夜の山道へ。

南会津の標識を目にしてからが結構な距離で、
一体この山道はいつまで続くのだろう...と思いを巡らせているうちに
初日の目的地、羽鳥湖高原「レジーナの森」に到着。


1018焼きそば担当、.JPG
コテージの裏手の庭にはタープが張られて、その下では炭火が起こしてあり
あとは用意された食材を焼いて食べるだけ、という素晴らしい設定。

普段は料理長にお任せのワタクシも、たまには...ということで
肉を焼いたり焼きそばを炒めたりして。

1018木の実と私。.JPG
しっかり満腹になった後は、暗くてほとんど見えない湖面が意外に近そうだなぁ...
などと考えながら、木の実を齧って過ごす。

小振りなステンレスのボトルは、"klean kanteen"のキッズサイズのもの。
ウィスキーを入れて持ち歩くには素晴らしく適しているのだ。

しっかり走って、濃い目のアルコールを摂取した後は
いつものように鈍器で殴られたかのような急激な眠気が襲ってきて
気が付くと朝になっていた。

1019目覚めて最初の風景。.JPG
誰よりも早くベッドから抜け出すと、なんとも素敵な景色。


1019朝の風景、.JPG

1019いいところ。.jpg
しばらくするとYASHさんも起きだしてきて
きりりとした早朝の空気を静かに味わって。


1019秋色。.JPG


1019さて、行きますか。.JPG
昨晩入り逃した温泉にしっかり浸かり、品揃え豊富なバイキング形式の朝食を食べて、荷物をまとめて。
さて、行きますか。


1019金谷さん、.JPG
南会津から鬼怒川温泉を抜け、日光に向かって南下して
混雑する日光市内は有料道路でやり過ごして、中禅寺湖畔へ。

ラスカルさんと知り合って最初に一緒に出掛けたのが日光で、
その時にはCL400で来て、ここ「中禅寺金谷ホテル・ユーコン」でカレーを食べたのだった。

追記:カレーを食べた割にはどんなカレーだっか記憶がないなぁ...なんて思っていたら
ラスカルさんの11年前の記事を読み返してみたら食べたのは茸のペンネだったことを発見(笑)
そう言われてようやくその時の味を想い出した。

1019カレー!.JPG
今回はチキン・カレー、YASHさんからビーフ・カレーも一口貰って味比べ。
柔らかい甘口のカレーで、ほっとする味わい。


1020硫黄の香り。.JPG
気持ちの良い昼食の後は、予定よりも時間が過ぎていることを気にしながら
沼田を抜けて吾妻線沿いに走っているうちにすっかり夜に。
霧も出て思い切り視界の悪い万座ハイウェイを
ラスカルさんのR1200RTに装備された増設LEDドライビング・ライトで照らして先導してもらって
少しぐったりした頃に万座温泉の宿に到着。ふう。

この日の宿「万座ホテル聚楽」は、ちょうど1年前に泊った宇奈月温泉の宿を想い出させるような
少し古風な「ああ温泉旅行に来たんだなぁ...」と感じさせてくれる宿だった。
こういうタイムマシンで時間を遡るような感じ、個人的には好きだ。


1020温泉卵。.JPG
夕食の後は再び鈍器で殴られた状態となり、翌朝は誰よりも早く起きて...を繰り返す。
5時半に起きたいな、と思って目が覚めたのが5時29分。
かなり体内時計の精度が上がっている。

硫黄の湯に使って不思議な文様の浮き出た温泉卵を味わって
いよいよ最終日。


1020かりんと屋さん。.JPG
草津「湯あがりかりんと」前にて 撮影:YASHさん

時間規制で昨夜は通れなかった万座~草津ルートの絶景と強風を愉しんでから
妻のリクエストのかりんとう屋さんに立ち寄らせてもらって、お買いもの。


1020再びの快晴。.JPG
この日も絵にかいたような快晴、気温も上がって軽い装備でも快適だった。
YASHさんの先導で嬬恋パノラマラインを通り、小諸~佐久と下って行く。


1020角度が.....jpg
ちょっと北海道を思わせるような開けた景色が続く中、
動画カメラを試してみようと取り出したのは良かったのだけれども
久しぶりに使おうとしたら、角度を合わせるのをすっかり忘れて、こんな映像に(笑

それでも風切り音対策の効果はしっかり確認できたので、良しとしよう。そうしよう。


1020秋の陽射し。.JPG
佐久で期待以上に美味しい蕎麦屋に飛び込んだ後は
この時期にしては暖かい12℃の表示の麦草峠を越え、
蓼科から茅野へ抜けて、まだ明るい午後の時間に諏訪南I.C.で解散。
みんな、またね。


1020帰宅。.JPG
燃料タンク容量の大きなRTには敵わないのは承知していたけれども
ずっとスリムに見えるYASHさんのTDM900よりも航続距離が短いということに
軽いショックを受けながら道中3回目の給油をして、夕方のうちに我が家に帰着。
ふう。

行程は900kmと少し、まずは無事で何より。
その晩から、あまり体験したことのない種類の全身筋肉痛に襲われたのは、内諸。


☆☆☆


1020雨さえ降らなければ、.JPG
この春に手に入れたTCX製の革ブーツ"X-Garage"は、商品説明通りの出来でとても軽く、
防水性と引き換えに通気性に優れていて、今回のような旅にはとても似合っていた。


依頼品。.JPG
かりんとうの他の妻の依頼品、「地元の人が普通に買っていそうな素朴なお味噌」と
「見たことがない種類の素朴なご飯のお伴」は、ほぼ完璧(笑)なものが手に入った。


1020既に思い出。.JPG
2016年10月の集合写真 撮影:YASHさん

強烈な全身筋肉痛も、ふた晩ほど湯船に浸かって身体を伸ばしているうちに
週末にはもう気にならないほどに回復。

自分にとって、仲間とオートバイで出掛ける旅は本当に貴重な時間だ。
単に移動しているというだけでなく、オートバイという乗り物を操りながら
意味のないことやとりとめのないことをいろいろと考える時間でもある。

今回は、夜になって漆黒の中から浮かび上がるカーブを繰り返し過ぎるうちに
「自分はいったい何をしているのだろう」とか
「もう少し傾けたらもっと楽に曲がれるはずなのに、なぜ思ったように体が動かないんだろう」
というようなことを何度となく考えていた。
自分にできること、自分の意志で自由に動かせると思っていたものが
歳を経るとともに少しずつ損なわれていくのだという事を
暗闇の中で車体を傾けながら感じるようになってきたのだ。

それでも、難しいことや辛いことは意外にすぐに忘れてしまう。
愉しかったことは、いろいろな場面で想い出すことができる。
そういう欠片のようなものが、また少し手元に溜まったような気がして
ほのかに充実感のある旅だったのでした。

めでたしめでたし。

★★★

今回の初日のルートは、以前に一人で奥只見に出掛けた時に走った道と重なっていたはずなのですが 10年前の記事を見返してみると本当に同じ道を走っていたことが分かって、なんだか不思議な気分でした。 ミッレミリアの集団に遭遇したのはレジーナの森への分岐の交差点だったんですね。


コメント(14)  トラックバック(1) 
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コメント 14

knacke

まるで物語の中の1ページのような慰安旅行ですね。
上質なオトナサマのバイク旅♪
おいしい色の風景と、お口にはいるおいしい。
光がとても奇麗ですね。
by knacke (2016-10-26 23:00) 

harry

☆knäckeさん、今年もとても愉しい旅でした。
 やっぱり秋は良いですね!景色も穏やかだし、食べ物も美味しいし。
 どうも夏はすべてが眩し過ぎて...(笑

 10年後もこんな風に旅をし続けていることが目標であります。
 健康第一で頑張ります♪

by harry (2016-10-26 23:27) 

POWERED

自分に出会えましたか。
あの感じ?どの感じ?想像させますね。
オートバイ乗りが言葉に出来なかった『感覚』を、適切に表現されていると思います。

目を三角にしても受け止めてくれる最新のオートバイも良いですが、のんびり走って楽しめるオートバイを選んで走るのもまた、旅の醍醐味ではないでしょうか。
by POWERED (2016-10-27 19:32) 

harry

☆POWEREDさん、そうそう、「あの感じ」です(笑

 実は、旅に出てから思った以上に前タイアが減っていることに気が付いて、
 それ以降はバンク中にも「今この瞬間にズルッと滑るんじゃないだろうか」とか
 葛藤に苛まれつつ走っていたりして、なおさらだったのかもしれません。

 去年はR nineT、今年は再びのR100Rだったんですが、こういう旅には
 R100Rの穏やかさが有難いと思うと同時に、いつかはCL400で
 距離を稼ぐのではない、予定を経てない一人旅をしたいな....
 なんて思ったりもして。楽しそうでしょ。

 
by harry (2016-10-27 22:55) 

HIRO

こんにちは。
恒例の慰安旅行?乙でした。
良い旅でしたね。

乗る距離と回数が減っていると、忘れている感覚もあるから、ある程度乗っておかないと”後で来ます”ね(笑)

by HIRO (2016-10-28 23:18) 

harry

☆HIROさん、おはようございます。
 おかげさまで今年も楽しんできました。秋はやっぱりいいですね。

 仰る通りで、丸1日走り続けるなんてことをしばらくしていなかったので
 だんだん惰性で走っているだけになりそうな気がして
 いろんなことを考えながら走ってました。
 放っておいても走ってくれる楽なマシンじゃない方が旅は愉しい、
 なんてこともあるかもしれませんね。

by harry (2016-10-29 08:22) 

YASH

自分の記事に向かっているうちに、すっかり周回遅れに
なってしまいました…。
今回は久々にしっかり乗ってもらえてMysticも満足してると
思いますよ。
RnineTならタイアの溝もたっぷりだったけど、
ちょっと違った展開になっていそう(笑)。

>難しいことや辛いことは意外にすぐに忘れてしまう
そう、そして忘れられなかった場合は、楽しかったことに
変わっていたりしませんか。
そういう旅の方が、残るものが多い気がします。
また、走りましょう。

by YASH (2016-11-01 23:43) 

harry

☆去年R nineTで走りながら、「やっぱり旅に向いてるのはMysticだなぁ」
 としみじみ感じたところだったんですけど
 楽ではあるけどちょっとシートが低すぎるかも...と思ったのが
 今回の意外な発見でした。腰の位置が低すぎるような気がしたんです。
 長時間走らないと気付かないことって、結構あるんですよね。きっと。

 実は、家に着いてから「やっぱり辛くても蓼科スカイライン行ってみた方が
 良かったかな」なんて思ったりして。
 そのうち一度、距離自体は短くても知らない道に突入する旅を
 やってみましょうね(笑

by harry (2016-11-02 21:27) 

rascal

車だと何となく運転出来てしまう物が・・・
バイクだと五感をフル導引しないと走れないような事も多く、なんか脳が活性されるような気がしますね。
雨上がりの緑の匂いがしたり・・・
肌で風を感じたり・・・
暗闇で目を光らせないと、まともに先が見えなかったり(笑)
何とも忙しい乗り物です。
その分、乗っている実感リアリティが充たしてくれるように思います。

最近はナビなどから視覚情報も増えて、考える事も増えました。

まあ、無事に目的地に到着する事ばかり考えてはいるのですが・・・
宿に迷惑掛けないように時間管理するのはなかなか難しいものです。
そういう意味で余裕が持てるRTじゃないとダメみたいですね。


ps.筋肉痛にはなりませんでした!
by rascal (2016-11-04 23:19) 

ナツパパ

毎年恒例の旅行、今年も素敵な旅ですね。
皆さんのお互いの距離感が良いなあ、といつも思います。
先日、中央道を通り、八ヶ岳倶楽部に行ってきました。
紅葉がとてもきれいでした。
by ナツパパ (2016-11-05 10:14) 

harry

☆ラスカルさん、そう、オートバイって全身をフルに使って動かすものなので
 普段意識していない自分の身体の隅々まで使い切った気がしました(笑。
 その状態で温泉につかるのが、またいいんですな。

 自分一人で移動する時には、到着時間を気にしないで済むように
 ビジネスホテルを取っちゃったりするんだけど、それだとどうも「旅」という
 あの独特の時間の進み方にはならないんですよね。うーむ。
 
 RTのポジションはリラックスできそうで良いよね。
 Mysticもハンドルを近くしているので楽なんだけれども、
 今回は「シートをもう少し高くしたら腰の角度がもっと楽になりそうだな...」
 なんて道中に考えてました。冬の間に¥いじってみようかと思ってます。

by harry (2016-11-05 23:49) 

harry

☆ナツパパさん、こんばんは。
 おかげさまで今年も穏やかで...と振り返るとそんな印象なんですけれども
 久々に三日間走り続けて、しっかり旅をした気分になりました。
 日本の景観は、一般道を走り続けてみると実に変化に富んでいて
 まだまだ知らない場所があること思うと、本当にワクワクしますね。

 秋の甲州~信州はしっとりとしていて良い時期ですね。
 美味しいものにも出会えましたか?(笑

by harry (2016-11-05 23:53) 

FTドルフィン

今頃は、もうどこかをお二人で周っているのかな・・・
今年もいろいろありがとうございました
よいお年をお迎えください。
by FTドルフィン (2016-12-31 23:12) 

harry

☆FTドルフィンさん、新年おめでとうございます!
 こちらこそ、いつもいつも楽しませてもらってありがとうございます。

 30日にこちらを出て、富士山麓の宿に泊ってから
 元旦は多摩に戻って母の元気そうな姿に少し安心して
 今日の夕方に帰ってきました。暖かかったですね!

 今年もどうぞよろしくお願い致します。
by harry (2017-01-02 21:35) 

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